うん。庭の薔薇は赤く、テーブルクロスは白。
完璧な『何でもない日』だ。

ちゃんとティーポットの中に眠りネズミは入ってるんだろうね？

よろしい。

さて、クロッケー大会の前にまずは乾杯を。
ティーカップは行き渡っているね？

では、誰の誕生日でもない
何でもない日を祝して！乾杯！

キミは……ああ、タルト泥棒の1年生か。

ふぅん？一応聞くけど、何のタルトを？

マロンタルトだって！？信じられない！

ハートの女王の法律・第562条。

｢『何でもない日』のティーパーティーに
マロンタルトを持ち込むべからず。｣

これは重大な法律（ルール）違反だ！
何てことをしてくれたんだい！？

完璧な『何でもない日』が台無しじゃないか！？

全810条。ボクは全て頭に入ってるよ。
寮長なんだから当然だろう。

ハートの女王の厳格さを重んじるハーツラビュル寮長
であるボクが、この違反に目を瞑ることはできない。

マロンタルトはすぐに破棄しろ！
それから、こいつらを寮外へつまみ出せ！

作ったことが重要なんじゃない、今日！
いま、ここに！持ち込んだこと“だけ”が問題なんだ！

馬鹿……だって？

ボクに口答えとはいい度胸がおありだね。いいかい。
小さなルール違反が、大きな問題に繋がるんだ。

へえ、そうなのかい？

燐羅はどう思う？

ああ

……確かに、ボクが寮長になって1年、ハーツラビュル寮からは
1人の留年者・退学者も出していない。

そこまでご存知なら、おわかりでしょう？

これは全寮内でハーツラビュルだけだ。
この寮の中でボクが一番成績が優秀で、一番強い。

だから、ボクが一番正しい！
口答えせず、ボクに従っていれば間違いないんだ！

ボクだって、やりたくて首をはねてるわけじゃない。
お前たちがルールを破るからいけないんじゃないか。

ボクに従えないのなら、まとめて首をはねてやる！

今、なんて言った？

首をはねろ（オフ・ウィズ・ユアヘッド）ーーーー！！！！

トレイ、ケイト！こいつらをつまみ出せ！