第141話
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テヒョイヒョンは唇を噛み締めて
何も言ってくれない。
…うそだ
いつだって僕たちのことを考えてくれてて
誰よりずっと頑張って生き抜いてきたのに。
手足を縛られ、
何人もの兵に見張られている処刑場で
毒殺した張本人、ナムジュンがそう言った。
以前の暴君が犯した罪に
今こうして復讐されてしまったなら
自業自得と言わざるを得ない。
だがこの話には
本当に、あなたが無関係なのだ。
ナムジュンのうなじに、
テヒョンが刀を置いた。
"次はもっと太平な世に生まれたい"
それが、最後にナムジュンが残した言葉だった。
まだ子供の頃に両親が他界し
弟たちの世話や、僕の看病をしてくれて
王宮で捕まり官吏の仕事に就けば
隣国の軍に攫われ人質になって
王妃になると命を狙われ続けた。
あなたは最後に何を言ったのだろう。
ただそれは、僕も皆も何となく分かっていた。
きっと最後の最後まで王を愛したんだ
あの世でゆっくり過ごす時間があるなら、
誰にも邪魔されず
今度こそ、愛する人と2人きりで。
僕らはあなたたちの幸せを切に願った。