第11話

第一章 放て! おれのサーチライト-10
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2019/11/01 01:24
 響き渡った声に周りの視線が集中するが、野田君はその謎のポーズのまましばし静止した。あくまで真顔である。
 やがて、「くっ……」と力尽きたようにガクリと膝をつくと、苦しげに呻く。
野田大和
野田大和
半径十キロ以内のあらゆる邪悪な魂を感知するおれの『サーチライト』を無効化するとは……かなりの曲者がいやがる
 ──もう無理。この子、誰かなんとかしてー!
野田大和
野田大和
今日は朝から嫌な風が吹いてるしな……イエロー、ピンク、くれぐれも警戒は怠るなよ
聖瑞姫
聖瑞姫
はいはい、がんばってね。じゃ、私はこれで
 これ以上は付き合ってられない、とそそくさとその場を離れて歩き出した時。

 ひときわ激しい突風が吹き抜け、傍に立っていたバスケットゴールが、ぐらりと傾いた。

 え……?
 呆気にとられる私の上に、大きな影が迫ってきて──
野田大和
野田大和
危ねえ!
 誰かに押し倒されて、腰をしたたかに打ち据えた。直後、轟音とともに砂煙が舞い上がる。
聖瑞姫
聖瑞姫
……!
 息をのむ私と野田君のすぐ真横に、大きなバスケットゴールが倒壊していた。
 もし下敷きになっていたら……。
野田大和
野田大和
……大丈夫か?
 青ざめながらも先に立ち上がった野田君に手を差し伸べられ、茫然としたまま頷く。
聖瑞姫
聖瑞姫
……ありが、とう……
 手を取りながら顔を上げたその時、校庭の向こう側からこちらを見つめる、ジャージ姿の赤い髪の男子の姿が視界に飛び込んできた。
 その男子生徒は私と目が合うや、ニヤリと片頰の口角をつり上げ、芝居がかった仕草で肩をすくめると、くるりと背を向けて去っていった。

 ……なに、あいつ……。
高嶋智樹
高嶋智樹
大和! 聖!
生徒
ゴ、ゴールが倒れたー!
先生
大丈夫か!?
 高嶋君をはじめ、近くにいた生徒や先生たちが集まってきて、すぐに周囲は騒然となった。

 どうやらゴールのベース部分に載せる重りのタンクが劣化していて、中に詰めていた砂が零れ、重りとしての機能が下がっていたらしい。
 結果、強風に煽られて──ズドーン。
 こわい。マジこわい。一歩間違えたら取り返しのつかない大事故になるところだったよ。
 今更ながらにゾッとする私の横で、野田君も強張った表情で、両手を握りしめていた。
野田大和
野田大和
……いよいよ、『奴ら』との戦争が始まったってわけか……
 ……ぶれないなあ、この子。

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