第7話

第一章 放て! おれのサーチライト-6
2,323
2019/10/18 01:12
野田大和
野田大和
しかし覚醒がまだということは、危険も大きいな。無防備なところを『組織』の連中に狙われたらイチコロじゃねーか……
 親指の爪を嚙みながら眉をひそめる野田君。
 いや『組織』って何。何を言ってるか本当に意味不明なんだけど。
野田大和
野田大和
……よし
 やがて野田君はぱっと顔を上げて私の両肩に手を置く。
野田大和
野田大和
今日からおれがボディガードとして、なるべくピンクの傍についていることにしよう
聖瑞姫
聖瑞姫
結構です! ちょっと、高嶋君、この子なんとかして
 助けを求める私を、高嶋君はスマホをいじりながら「無理」とあっさり切り捨てた。
高嶋智樹
高嶋智樹
今は空良ちゃんとデート中だから
聖瑞姫
聖瑞姫
デートって……ゲームしてるだけじゃない
 高嶋君のスマホからは、可愛らしい女の子たちの歌声が聞こえていた。最近流行しているアイドル育成ゲームだろう。
高嶋智樹
高嶋智樹
この時間が空良ちゃんとの愛を育む大事なひと時なんだよ。ああ、空良ちゃん、今日も可愛いなあ……控えめに言って天使
 画面の美少女キャラを見つめてにへらっと相好を崩す高嶋君……まさかのオタクか!

 なんという無駄美形……。
 脱力して眺めていたら、高嶋君がこちらを見て、「ん?」というように首をかしげた。
 それから、フッと不敵な笑みを浮かべながら、髪をかき上げる。
高嶋智樹
高嶋智樹
いくら俺がイケメンだからって惚れても無駄だぜ。残念ながら、リアルの女には興味ないんだ
 ……うわ~。いろんな意味で本当に、残念だ……。
聖瑞姫
聖瑞姫
と、とにかく、私はこれで! 早く戻らないとお昼食べる時間なくなっちゃうし
野田大和
野田大和
待て、ピンク! 一人は危険だ。一緒に食べよう
聖瑞姫
聖瑞姫
大丈夫だから、ついてこないで……!
 教室に戻ると、菜々子ちゃんたちの姿はなかった。他の場所で食べてるのか、すでに食べ終わって遊びに行ってしまったのか。
 仕方なく自分の机でお弁当を広げた私のすぐ横で、野田君と高嶋君もそれぞれパンとお弁当を食べ始める。……これじゃ周りから見たら一緒に食べてるみたいじゃないか。
野田大和
野田大和
ピンクの好きな食べ物はなんだ?
聖瑞姫
聖瑞姫
……煎餅
野田大和
野田大和
渋いな。おれの好物は焼き肉とラーメン。イエローはカレーだ
高嶋智樹
高嶋智樹
違うから! 勝手に決めるな、俺が好きなのは唐揚げ!
野田大和
野田大和
イエローといったら好物はカレーだろう。今日からカレーにしろ
高嶋智樹
高嶋智樹
無茶言うな
 半眼で抗議していた高嶋君は、自分のお弁当から卵焼きをつまみ、ふっと口元をほころばせた。
高嶋智樹
高嶋智樹
今日は千夏の弁当だな……ったく、卵焼き、焦げてるじゃねえか
 千夏? と首をかしげる私に、「智樹の彼女だ」と野田君が教えてくれる。
聖瑞姫
聖瑞姫
なんだ、彼女いるんだ
 彼女の手作り弁当とは、このリア充め。リアルの女には興味ないとか言ってたくせに……。
 思わず呟いたところ、高嶋君は心外そうに鼻を鳴らした。
高嶋智樹
高嶋智樹
当然だろ。そろそろ増えすぎて困ってるくらいだ
聖瑞姫
聖瑞姫
何人もいるの!?
 うわ、最低……とドン引きした私に、高嶋君は悪びれることなく頷く。
高嶋智樹
高嶋智樹
みんなそれぞれに魅力があるからな。一人になんて絞れるわけないだろ? 千夏、さくら、ミコリン、真由、沙羅姫、弥生、星呂、淡路、なぎさ、七海、兎丸、春風、茜、夕子、シャルロット、麗花……
 なんか変わった名前交ざってるな……って外国人まで?
聖瑞姫
聖瑞姫
いつか刺されるよ
 ゴミを見るような気分で吐き捨てるように言うと、野田君が「大丈夫だ」と首を振った。
野田大和
野田大和
全員二次元キャラだから

プリ小説オーディオドラマ