第4話

第一章 放て! おれのサーチライト-3
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2019/10/04 01:43
 会心の笑みを浮かべてガッツポーズをする野田君に、さっきパスを出した金髪の男子が駆け寄って、野田君の首に腕を回して祝福するように小突いている。
 えっと、彼は確か野田君の前の席に座ってた覚えがあるけど……。
聖瑞姫
聖瑞姫
あの男子は?
渡瀬菜々子
高嶋君。野田君の幼馴染みで、仲良いみたい
 へえ……幼馴染み。
 派手な金髪にやたらとヘアピンをつけてて個性的だけど、イケメンだな、高嶋君。
 芸能人なみに整った顔立ちで、背もすらっとして高い。
 白シャツにベスト、チェックのボトムス、とスクール風の私服をおしゃれに着崩している。
 私とは人種が違う感じだし、チャラそうだから好みではまったくないけど……野田君も可愛い顔してるし、二人でいるとかなり目立つ。

 そんなことを思って眺めていたら、不意に野田君が振り返り、まっすぐにこちらを見つめてきた。
 また、私を見てる!?
 距離があっても感じられる、その物怖じしない眼差しの強さに、どぎまぎして思わず顔を背けた。
渡瀬菜々子
……なんか野田君、ずっと瑞姫ちゃんのこと見てるよね
クラスメイトの女子
うんうん、もしかして、一目惚れされちゃったとか?
 菜々子ちゃんたちの言葉に、へ? と呆気にとられてから苦笑した。
聖瑞姫
聖瑞姫
そんなことあるわけないって
 自分の顔面レベルはわきまえている。
渡瀬菜々子
えー、ありえるありえる。瑞姫ちゃん可愛いもん
 いやいや菜々子ちゃんのが可愛いよ、と本心から思ったけれど、お世辞の言い合いっぽくなるのは嫌だったので「ないない」とだけ答える。
聖瑞姫
聖瑞姫
それにしても、野田君も高嶋君も二人ともモテそうだよね
渡瀬菜々子
…………
クラスメイトの女子
…………
クラスメイトの女子
…………
 話題を変えるつもりで何気なく口にしてみたところ、それまでニコニコと話していた女子たちはなぜか無言でいっせいに視線を逸らした。
 ……ん……?


 その後の授業でも、しょっちゅう野田君と目が合った。自意識過剰とかじゃなく、絶対見られてる。
 なんで私のことをそんなに見てるの? 前にどこかで会ったことがあったりする?
 よっぽど聞きに行こうと思ったけれど、野田君は休み時間はいつも前の席の高嶋君とだべっていた。
 なるべく地味に平穏に日々を過ごすのが私の理想だ。ただでさえ周囲の注目を集めやすい転校初日、あんな目立つ男子たちのところに特攻をかけるのは気が引けた。

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