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第13話

第一章 放て! おれのサーチライト-12
2,330
2019/11/01 01:24
 校庭の端を猛スピードで駆けていく人影を、野田君は一心不乱に一直線に追走する。
先生
野田ー!?
先生
こら、何をしてる……!
 先生たちの制止の声も完全に無視して、隣で試合中だったサッカーコートに乱入し、目を白黒させる選手の一人からボールを奪うと、野田君は思いっきりそれを蹴り飛ばした。
 うなりを上げたサッカーボールはマスク男のお尻に衝突。
 マスク男は激しく吹っ飛ばされて気絶する……なんて『名探偵コナン』みたいなことにはならず、一瞬驚いて足を止めたものの、大したダメージは受けずにまた走り出した。
 ですよねー。

 野田君もひるまず追跡を続行する。マスク男への最短距離を猪突猛進。
 進行方向にいた先生の背中を馬飛びして、置かれていたカラーコーンをなぎ倒す。
 ライン引きを蹴り飛ばして、校庭に白い粉が舞い上がる……。
高嶋智樹
高嶋智樹
聖、こっちだ
 啞然と眺めていた私は、高嶋君に肩を叩かれて、我に返った。
 すぐに意図を理解し、走り出した高嶋君の後を追う。
 関わり合いたくないと思っているのに、ついていくのには理由があった。
 ……まさかとは思うけど……。

   ☆★☆

 マスク男は校門とは反対方向に逃げていた。ということは、校舎裏に回り込んで裏門へとでるつもりだろう……。
 そう予想して、校舎を反対側から回り込んでしばらく行ったところで、案の定、向こうから走ってくる人影とかち合った。
 ハッと息をのみ、足を止めるマスク男……いや、この人は──
野田大和
野田大和
そこまでだ、この悪党!
 袋小路に追い詰められたマスク男の向こう側から、勢いよく人差し指を突き出した野田君が、朗々と声を響かせた。
野田大和
野田大和
一つ、人より力持ち。二つ、不屈の闘争心。三つ、みんなの笑顔のために……
 そこで野田君は足を開いて、両腕を大きく回した。
 腰を落として握りしめた右手を腹部に添え、摑みかかるように開いた左手を前へ伸ばして、ビシィッと決めポーズ。
野田大和
野田大和
おれ、推参!
 特撮ものなら背景でバーンと謎の爆発が起こりそうなテンションだ。
 それにしても動きにキレがありすぎる……人知れず練習していたのかと思うと、なんというか、こみ上げてくるものがあった。
野田大和
野田大和
宇宙の果てまでブッ飛ばす!
 これも決め台詞の一つなのだろうか。勇ましいファイティングポーズを決めてから、マスク男に飛びかかる──
聖瑞姫
聖瑞姫
やめてー!
 響き渡った私の声に、野田君ははたと動きを止め、こちらに驚いたような眼差しを向けた。
野田大和
野田大和
ピンク……?
高嶋智樹
高嶋智樹
どういうことだ、聖?

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