第9話

第一章 放て! おれのサーチライト-8
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2019/10/25 01:18
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野田大和
野田大和
おれはこの試合、なんとしても勝ちたい! 勝たなきゃならない! だがおれ一人の力では無理だ。みんなの力を貸してくれー!
 野田君の声が響き、「おー!」とノリのいい男子たちの声があとに続く。

 私が転校してきてから一週間が経った。私立皆神高校は、本日、球技大会が開催中だ。
 校庭でサッカー、バスケ。体育館でバレー。
 私はバレーを選択したけど、あえなく一回戦で敗退し、今はクラスの応援のために外にきていた。
 スポーツ万能の野田君はバスケに参加して、背丈のハンデもなんのその、驚異的なスピードと瞬発力、ジャンプ力でもって獅子奮迅の大活躍。ただし──
野田大和
野田大和
いくぞ……バーニングドライブ!
野田大和
野田大和
みたか! ノーフォームシュート!
野田大和
野田大和
まだだ、まだ熱が足りない……もっとおれを熱くしてみろおおお!
 やたらと必殺技名を連呼したり、無駄に熱血な台詞を叫んだりしなければカッコいいのに……。
 野田君は時にボールをグーパンチで殴って見当違いの方向にパスを出したり、スリーポイントシュートを遠くから打ちすぎてゴールに届かなかったりと、某有名漫画の大技を真似して失敗しながらも、なんだかんだでチームを勝利に導いた。
野田大和
野田大和
ピンク! 勝ったぞ
 意気揚々と近づいてきた野田君と高嶋君に、私は「おめでとう」とだけそっけなく伝えると、背を向ける。
 極力接触は持たないように、さっさと離れよう……そう思っていた私の後ろから、高嶋君の不服そうな声が響いた。
高嶋智樹
高嶋智樹
なんだよー、ぼっちみたいだから話しかけてやってるのに
聖瑞姫
聖瑞姫
あなたたちが話しかけるからぼっちになってるの!
 いかん、つい応じてしまった。
 運動ができる野田君と屈託のない高嶋君は、クラスの男子にはわりと馴染んでいたけれど、女子たちからは痛い人として避けられていた。
 そしてそんな二人からしょっちゅうちょっかいを出されることで、私まで同類とみなされて、女子から微妙に壁を作られるようになってしまっていたのだ。
 視線が合うと、サッと顔を逸らされたり。
 消しゴムを拾って渡そうとしても、目を合わさないまま「あ、ありがと」とぎこちなく奪い取られたり……。
 結果、未だにどこのグループにも属せずに、ぼっちルートを着実に歩み始めている。いやあああああ。
 ちょっと天然っぽい菜々子ちゃんだけは変わらず接してくれるけど、今日は風邪でお休みだった。

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