第8話

第一章 放て! おれのサーチライト-7
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2019/10/18 01:12
 ……うわあ……それはそれでドン引きだ。
高嶋智樹
高嶋智樹
正妻は空良ちゃんだけどな。空良ちゃんは大和撫子で料理の腕もプロ級なんだぜ
 なぜか自慢げに語る高嶋君だけど、本当はお母さんが作ったお弁当を、脳内彼女が作ったと妄想して食べてるのか……うわあ……。
野田大和
野田大和
食後は三人で決め台詞とポーズの練習だな!
聖瑞姫
聖瑞姫
やりません
高嶋智樹
高嶋智樹
やらないし
 話しかけられて無視するわけにもいかず答えていたら、ご馳走様をする頃には昼休みも終わっていた。
 やれやれ、とため息をついていたら、いつのまにか教室に戻ってきたらしい菜々子ちゃんに、「瑞姫ちゃん」と呼びかけられた。
渡瀬菜々子
野田君たちと仲良くなったんだ~。よかったね
 ほわわんと微笑まれて、絶句した。
 仲良くなんてしてないよ!? たまたまお昼は一緒になったけど……そう弁明しようとしたところで、野田君が満面の笑みで割り込む。
野田大和
野田大和
ああ。ピンクはおれたちの大事な仲間だ!
 野田君の声は無駄に良く通り、教室中に響き渡った。
 クラスメイトたちがざわっと沸き立って、視線がこちらに集中する。
クラスメイト
ピンク……?
クラスメイト
野田たちの、仲間……
クラスメイト
一緒に弁当食べてたしな
クラスメイト
え、聖さんもあっち系の人だったんだ……
 クラスメイトたちの囁きが耳に入り、憤死しそうになった。
 ぎゃー、やめてくれ!
聖瑞姫
聖瑞姫
違うの、これは野田君が勝手に──
担任教師
ほら、みんな、掃除の時間だぞー。それぞれの持ち場につけー
 釈明の言葉は、最悪のタイミングで現れた担任教師の大声でかき消された。
 先生、邪魔しないでください……と恨みがましい目で見つめると、先生は勘違いしたらしい、「ああ、聖の持ち場か」と頷く。
担任教師
中庭清掃が二人だけだったから、そこにしよう。野田、高嶋、案内してやれ
聖瑞姫
聖瑞姫
……!?
 こうして誤解を解く機会を逃したまま、掃除の班も野田君たちと一緒で、その後も休み時間のたびに付きまとわれ──気が付くと、すっかりクラスメイトたちからは私も野田君の仲間と思われてしまったようだった。
 いやだー。こんな痛い人たちと一緒にしないで……!

 この日から、「平穏」とは程遠い厨二病な人たちとの日々が幕を開けたのだった──。

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