……うわあ……それはそれでドン引きだ。
なぜか自慢げに語る高嶋君だけど、本当はお母さんが作ったお弁当を、脳内彼女が作ったと妄想して食べてるのか……うわあ……。
話しかけられて無視するわけにもいかず答えていたら、ご馳走様をする頃には昼休みも終わっていた。
やれやれ、とため息をついていたら、いつのまにか教室に戻ってきたらしい菜々子ちゃんに、「瑞姫ちゃん」と呼びかけられた。
ほわわんと微笑まれて、絶句した。
仲良くなんてしてないよ!? たまたまお昼は一緒になったけど……そう弁明しようとしたところで、野田君が満面の笑みで割り込む。
野田君の声は無駄に良く通り、教室中に響き渡った。
クラスメイトたちがざわっと沸き立って、視線がこちらに集中する。
クラスメイトたちの囁きが耳に入り、憤死しそうになった。
ぎゃー、やめてくれ!
釈明の言葉は、最悪のタイミングで現れた担任教師の大声でかき消された。
先生、邪魔しないでください……と恨みがましい目で見つめると、先生は勘違いしたらしい、「ああ、聖の持ち場か」と頷く。
こうして誤解を解く機会を逃したまま、掃除の班も野田君たちと一緒で、その後も休み時間のたびに付きまとわれ──気が付くと、すっかりクラスメイトたちからは私も野田君の仲間と思われてしまったようだった。
いやだー。こんな痛い人たちと一緒にしないで……!
この日から、「平穏」とは程遠い厨二病な人たちとの日々が幕を開けたのだった──。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。