謙杜side
こうして使用人としての一週間が始まった。
未だに謎なのは、誰が僕達の生活を見張るのかってこと。
床を綺麗に拭きながら色々考えていると、誰かが僕の肩を叩いた
流¦謙杜!もうちょっとで交代やってさ!
謙¦ほんまに?つかれたー!
流¦今日はこの後仕事ないし俺の部屋でゆっくりしーひん?
謙¦え!いいの?やったあ!!
流星くんの部屋、何気に初めて。
どんな部屋なんやろー
やっぱり可愛いんかな?楽しみー!
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交代の時間になって、流星くんは僕を部屋に迎え入れてくれた。
謙¦お邪魔しまーす!
流¦どうぞー!ちょっと散らかってるけど、笑
謙¦電車好きなん?
部屋には駅名の書かれた地図や模型などが置いてあった。
見た目とは裏腹に意外と男の子っぽい部屋やなー
ギャップ萌えってやつか。
流¦あぁ、うん笑
謙¦へぇー!めっちゃいい趣味やな!僕鉄道知らんから流星くん尊敬!
流¦そうかな?ありがとう笑
謙¦うん!!
流¦謙杜は?なんか好きな事とかあるん?
謙¦僕?んー、料理とかは得意かも!叔父さんが仕事で帰ってくるの遅かったから!
流¦そうなんや!俺も黒焦げの卵焼きやったら作れる!
謙¦身体に悪いで?
流¦まあとにかく!今度俺にもなんか作って?
謙¦うん!あ、大橋くんにお願いしてまかない一緒に作らせてもらおっかな〜♪
流¦いいやん!大賛成ー!!
謙¦んふふ笑 じゃあ決まりっ!
流¦そういえば謙杜の叔父さんってどんな仕事してはったん?
謙¦えーっとねー、建設会社って言ってた!まあ頭良いから何でも出来るんやろなー笑
流¦そうなんや笑 そもそもどんな人なん?
謙¦真面目やけどたまに壊れるで。あとすぐに僕を抱き枕みたいにしてくるねん!帰ってきたらハグしてきて、、癒しが欲しいって時はちゅーしてくるかなー?まあ普通やなー
流¦・・・謙杜、普通って分かる?
謙¦え?一般的な常識とかそういう感じやろ?
流¦叔父さんとハグしたりキスするのが普通やと思ってる?
謙¦うん。流星くんは違うん?
流¦・・・これ俺が間違えてるんかな
謙¦??あ、流星くんに聞きたかった事があるんやけどさ
流¦ん、?
謙¦キスってほっぺにするもんやんな?
流¦・・・へ?
謙¦あとキスの先って何?なんかキスの先に待ち受けてるもんがあるん?ラスボスとか!?
流¦待って待って、、え?
謙¦ん?
流星side
パニックなんやけど
え、これ俺が間違ってる?
どんだけ特殊な環境で育ったらこうなるねん
謙¦流星くん、僕なんか変?
逆にどこが普通なん?って聞いてやりたいレベルで純粋なんですけど
流¦謙杜って今何歳?
謙¦この前18になった!
18歳、?今どきの18歳ってこんな純粋なん?
いや落ち着け俺。これは多分世界でも稀に見る現象やと思われるから。
で!どこから話す?
流¦まず俺の知ってる限りでは叔父さんとハグしたりキスしたという事例は君が初めてです
謙¦そうなん!?
流¦それと、キスは唇を使う事が多いかな?
謙¦あー、やからあの時、、
流¦ん?
謙¦はっ!な、なんもないっ!
何かに気付いて慌てて口を手で覆った。
怪しい、、彼女でも出来た?
まあそれは後でじっくり聞くとして。
問題はこの先よ。
これは俺が教えていいものなんか?
謙¦それで?キスの先にはどんな怪獣がいるん?
流¦・・・は?
謙¦流星くんが言いにくそうにしてるからキスの先にラスボスがいるっていうのは多分ほんまやし、、やとしたらどんぐらい強いんやろなーって
んーっと、、天然?
ていうかハグとかキスとかは全部動作やのに、なんでキスの先にあるのは怪獣やと思ったん?
怪獣って、、考える事かわい、笑
流¦怪獣じゃないよ
謙¦そうなん?じゃあ魔女とか?
流¦キスの先にあるのは怖いものじゃないねん
謙¦え!嘘やん!
流¦ほんま。むしろ逆かな?
謙¦逆?
流¦そう。優しくて、温かくて、、もっと触れてたいって思う
謙¦・・・どういうこと?
流¦さぁ?それは謙杜が見つける事やな!
謙¦教えてくれへんの、?
流¦俺は上手に教えられへんけど、いつかそれを教えてくれる人に出会えるよ
謙¦ほんま、?
流¦うん。謙杜の事を心の底から愛して大切にしてくれる人に出会ったら、きっとその人が全部教えてくれる。人を愛する気持ちも、キスの仕方も、キスの先にあるものも。
流¦謙杜が知りたいって思ってる事はそれくらい温かくて大きなものやと思うよ!
謙¦そっ、か、、ありがとう!
流¦いいえー!楽しみやなー!
謙¦なにがー?
流¦んー?謙杜がどんな人を好きになって、どんな人と結婚するのか!
謙¦・・・そっか、!笑
その後謙杜が何か言ってた気がするけど、小さすぎて聞こえんかった。
いつか本当の事を知ってしまうのかな
それはそれで少し寂しい気もするな、笑
疲れて寝てしまった謙杜をベットに連れて行き、布団を被せた。
流¦んふ笑 可愛い寝顔〜笑 おやすみっ、!
頭を撫でたら謙杜の表情がふわっと和らいだ
謙杜side
この家に入ってからずっと気になっていた事。
何でも知ってる流星くんなら分かると思って聞いてみた。
そしたらしばらく黙った後話してくれた
話を聞いても結局の所はよく分からんかったけど
とりあえず誰かが本当の事を教えてくれるというのは分かった。
流¦謙杜が知りたいって思ってる事はそれくらい温かくて大きなものやと思うよ!
温かくて大きなもの、、なんやろ?
僕が知ってるもの?それともまだ知らない何か?
謙¦そっ、か、、ありがとう!
流¦いいえー!楽しみやなー!
謙¦なにがー?
流¦んー?謙杜がどんな人を好きになって、どんな人と結婚するのか!
謙¦・・・そっか、!笑
謙¦いじわるな高身長男ですけどね(小声)
聞こえてない、よな?
流石にこの家の御曹司と出会って数分で婚約したなんて言ったら色々まずい事になりそうやから
例え流星くんであってもこれだけは言えません、!
ごめん流星くん!
誰かが僕の頭を撫でて満足そうに微笑んでいたけど、それが誰なのか確認する前に僕の意識は途絶えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。