駿佑side
大¦じゃあ、、ぎゅーってして、?
謙¦はいはい、笑
大¦ん、えへへ、ありがとぉ〜♡
・・・は、?
いやいや、落ち着け自分。多分これは幻覚。
とりあえず時間を巻き戻してみよう
発端は昨日の夜。
2人で食事をしていたら明らかに何かを隠しているような瞳をし始めた彼が気になった。
駿¦謙杜、なんかあった?
謙¦へ!? いや別に、、なんもないで、?
駿¦そっか、ならいいけど。
謙¦う、うん、!
怪しい。空元気というか、何としてでも俺に秘密を悟られまいと必死な感じ。
完全に俺の直感やけど、なんとなく明日は謙杜を見張っておいた方が良さそうな気がした。
それで今日彼のあとを追って
辿り着いた先は病院。
まさかあいつ、昨日怪我したんか?
それで俺に心配かけたくなくて隠して来てるとか?
俺の事考えてくれてるのか、なんて考えで少し緩んだ頬は、遠くから聞こえた彼の声によって一気に戻ってしまった
謙¦すみません、病室を探しているんですけど、、
なんや、お見舞いかいな。
とりあえず怪我は無さそうで安心したけど
誰が入院してるんやろ。
病室の階数が分からず看護師さんに尋ねている謙杜の声に聞き耳を立てながら
なんとか彼の行動を監視する事が出来た。
ていうかよく考えたら俺やばい事してるよな
傍から見たら完全にただの犯罪者やん
いやでも、でもよ?
俺はあいつの保護者ですから。うん、そうそう。
決してあいつが好きやからではない、うん。
謙¦失礼しまーす、、
大¦けんとー!!会いたかったぁ、♡
病室に入った謙杜を見るなりいきなり抱き寄せて頬を擦り寄る細くて小さな男性の姿。
一瞬目を疑った
でもやがて正気を取り戻した俺は全てを悟った。
あぁ、そういう事か。
謙杜が俺に隠したかったのは自分の怪我なんかじゃなくて
恋人という、もっと大きな存在なのだろう。
俺にとって謙杜は凄く大切な存在でも
向こうは単なる仕事の一環。
俺以外と付き合っている事を悟られないために
嘘をついた。
真実の愛、運命の人、奇跡の出会い。
そんなのはどこかの誰かが作った理想の話で
俺と彼にとっての現実は
少なくともそんな理想には辿り着けない。
いや、違う
謙杜にとってはあいつに抱いている感情が真実の愛で
あいつが運命の人で
あいつと出会った事が奇跡の出会いなのか。
理想論だなんて思っているのは俺だけ。
自分だけが彼の事を好きで
その感情は日が経つごとに増すばかり。
配偶者でも、婚約者でも、恋人でも
友達ですらない関係。
目の前にいる好きな人と同じ名字になる日なんて
俺にはきっと永遠に来ない。
そばにいたい時にいれなくて、
離れたい時にだけそばにいる。
誰にも愛されなくて
誰も愛せなかった俺が
唯一心の底から愛を知った相手。
俺の中身を見てくれた相手。
でも結局、特別だと思っていたそいつにも愛される事はなかった。
この状況が俺にとっては刺激が強すぎて
扉の向こうにいる彼の声も頭に入らないくらいだった。
大¦じゃあ、、ぎゅーってして、?
謙¦はいはい、笑
大¦ん、えへへ、ありがとぉ〜♡
そんな甘ったるい声で絶望的な現実に引き戻された。
は、?なんで?
え、なに?何その距離感。
何このめっちゃ甘い空気。
ていうかまず誰やねんこいつ
謙杜にとっては愛してやまない相手でも
俺にとってはただの他人。
知らんやつに俺の大好きな人を取られたくない
そんな理不尽極まりない理由をぶつけるように彼の背後へ忍び寄る。
駿¦おい、何してんの?
謙¦!?しゅんく、っ
勢いよく振り返って俺を見る彼。
余程この状況に驚いたのか
謙杜はずっと泣いているそいつに付きっきりで
慰めるように頭を撫でながら抱き締めている。
そんな目で、そんな状態で俺を見るなよ。
その光景を見た瞬間、頭よりも先に体が動いて
気付けば謙杜をそいつから引き剥がして病室を出ていた。
謙杜side
駿¦お前、ちょっと来い
いきなりいるはずも無い彼が僕の腕を強い力で引っ張って来た
病室を出て凄い速さで歩く彼に足も頭も追いつかない。
気が付けばトイレの中、個室に2人きりの状態で鍵を閉められる
駿¦・・・なぁ、これはどういう事?
謙¦それはこっちのセリフなんですけど
壁に押し付けられて、至近距離に駿佑様の顔。
おまけにいつもと違う怖めの表情にワントーン低い声。
あれ、なんか怒ってる?
駿¦俺外出は禁止って言ったよな?
謙¦は、はい、
駿¦じゃあなんで勝手に家出てるん?
謙¦ごめん、なさっ、
駿¦話聞いてた?俺は理由を聞いてんねん。謝罪なんか頼んでへんわ
目の色が変わって僕を睨みつける
多分、いや絶対怒ってる
謙¦特にそんな遠出でもないから大丈夫かなって、、
駿¦普通の買い物で誘拐されてる人がよく言うわ
謙¦・・・っ、駿佑様こそ今日はお仕事では、?
駿¦今日は休み取った。昨日の事があって謙杜と一緒に行動せなって思ってたから。
謙¦え、、あ、ありがとうございます、///
駿¦・・・でも余計なお世話やったみたいやね
謙¦え、?
駿¦謙杜、俺に隠してる事あるやんな?
謙¦隠してる事?
駿¦はぁ、、もうええよ。単刀直入に聞くけど、お前付き合ってる人いるんやろ?
謙¦・・・は、はぁ!?///
駿¦その反応、、分かりやす
謙¦しゅんすけ、さま、?
駿¦・・・俺、2人きりの時駿佑様って呼べなんて言ってないけど?
謙¦え、?
駿¦俺には様付けで他人扱い、でもあいつにはくん呼びでほぼ家族扱い。
謙¦あいつって、?
駿¦とぼけんなよ、さっきまで抱きついてたやつやん
抱きついてた?もしかして大吾くんの話?
謙¦いやそれは、っ
駿¦まあ俺と出会う前からあいつと仲良かったらそうなるか。お前にとって俺は所詮ただの仕事相手で、あいつの事は特別なんやろ?
どうしよう。多分駿佑様は僕が大吾くんと付き合ってるって勘違いしてる。
何とかして分かってもらわな。
謙¦だからそれは、!
大吾くんは僕の叔父さんで、
僕の好きな人は
僕が結婚したいと思う人は
今までも、きっとこれからも
ずっと駿佑様だけやって。
駿¦別にもう誤魔化さんくてもええよ。あの家出てあいつと暮らしたいなら暮らせば?俺はまた代わりの人間雇わなあかんけど。
謙¦っ、やから違うって!
駿¦何が違うん?
謙¦あの人は僕の家族やから、!
駿¦は?家族?あいつと結婚してたん?
謙¦いやそういう事やなくて、、
駿¦じゃあ何?親ならあんなに馴れ馴れしくないやろ?
その言葉で僕の中の何かが切れた。
謙¦あーもう!やから大吾くんは叔父さんなの!
駿¦叔父さん、?あいつが?バレバレな嘘つくな
謙¦ほんまやって!大吾くんは僕のお母さんの弟やの!
敬語なんか忘れて、ただ脳裏に浮かんだ言葉を必死に紡いでいく。
駿¦・・・え、?
謙¦・・・小さい頃に両親が離婚して、母は女手一つで僕を育ててくれた。でも突然交通事故で亡くなった。それで誰にも頼れなくなった僕を大吾くんが引き取って育ててくれてん。
駿¦・・・そう、なん?
謙¦うん。やから大吾くんは僕にとって本当のお父さんみたいな存在やの。だからお互い恋愛的に好きになることなんてない。
駿¦・・・そっか。ごめん
謙¦こちらこそ、、約束破ってごめんなさい。
駿¦いやそれはもうええよ。あ、でも次からはあかんで?
謙¦分かってますって笑
駿¦心配やなぁ、、
謙¦んふふ笑 はい!仲直りっ!
僕は彼の前に小指を出した
駿¦それ約束する時にするやつちゃう?
謙¦そう!次からはお互い約束守るっていう約束!
駿¦ん、分かった。約束な?
謙¦はい!
彼は僕の小指に自分の小指を絡めて優しく微笑んだ。
駿¦なんか子どもみたいやな笑
謙¦ていうか、病室の前にある名札見なかったんですか?
駿¦名札?あぁ見てへんかった
謙¦もー!それ見んと詰め寄ってくるとか酷すぎません!?僕またなんかしちゃったかと思ってびっくりしたやん、、
駿¦・・・自覚無いのが信じられへんねんけど
謙¦え、僕なんかしました?
駿¦流石にあんなイチャイチャしてたらそりゃ恋人かなって思うやん
謙¦イチャイチャ?あれが普通じゃないの?
駿¦少なくとも俺の普通ではない
謙¦そのセリフどっかで聞いたような、、
駿¦みんな思う事は同じなんやな
謙¦そんなに変わってますか?僕の家
駿¦うん
謙¦まじか、、まあでも心配かけちゃったのは反省してます。ごめんなさい
駿¦はぁ、、次は無いからな
謙¦はい!ありがたき幸せ!!
駿¦癖強ない?
謙¦そうですか?あ、それともう一つだけ。
駿¦ん、?
謙¦・・・すき、です
駿¦・・・え?
謙¦この生活が。
駿¦ん、?
謙¦道枝家に入って西畑っていう名字は消えましたけど、僕はこの生活が好きですよ?駿佑様は何故か僕にだけいつも優しく接してくれるし、あの怖そうな恭平くんだって僕の事可愛いって言ってくださったんですよ!?もう僕幸せです
駿¦あ、あぁ、、好きってそっちね
謙¦そっち?
駿¦なんでもない。教えてあげよっか?何でお前にだけ優しいのか
謙¦はい!知りたいです!
僕がそう言うと彼は不敵な笑みを浮かべ、僕の耳元で囁いた
駿¦俺も好きやから、♡
謙¦・・・!?///
駿¦この生活が、な?
謙¦・・・もうっ!///
前言撤回。この人は全然優しくない、僕に対しても変わらず意地悪。
いや、僕やから、かな?
"俺も好き"
もはやそんな何気ない一言ですら僕を刺激する。
恋というものは意外と大変なのかもしれない。
心拍数が上がったせいか赤く染まった頬に手が触れて彼の体温が移る。
その余韻に浸っていると、割れ物に触るかのように優しく唇が触れた。
熱が集まりすぎた唇に柔らかい感触が残る。
うん、今ならちゃんと分かる
これは何よりも僕の心を落ち着けるキスだって。
そしてこのキスは
目の前にいる彼しか出来ないものだって。
それが分かってるから
離れるのが怖くなって
僕はまた
偽りの結婚生活を重ねている。
それが本物になる事なんて
望んではいけないのだと言い聞かせながら。
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皆様こんにちは〜!作者でございますっ🕊️
お気に入り、いいね共に1000を突破致しました👏🏻
いつも楽しみにしてくださっている皆様のお陰です🙇🏻♀️
本当にありがとうございます😭💕
前話でお伝えするつもりだったのですがすっかり忘れておりました、笑
:
ここからは完全に雑談ですが、先日Jrチャンネルのなにわちゃん達出演のクイズ回を拝見しまして。
給食の話になった所を見て急激にお腹が空きました笑
私もリチャくんと同じでプリプリ中華炒め好きやったなーと思いながら見ておりました🙌🏻
あの味なんか癖になるのよ。
私の時は結構人気メニューでした。
メジャーなのかと思ったら、意外と知らない人多かったですよね。
もしかしたら私の出身地だけかな、?
どうでもいいですね、はい。
ちなみに私は今からお昼ご飯です🫶🏻
一日って早いですよねぇ、、
お仕事、お勉強を頑張り中の皆様
今日もお疲れ様です🍵💕
私も皆様見習って頑張ります🙌🏻
これを見てくださった方の一日が少しでも良い日になりますように🥰
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。