人参、玉ねぎ、じゃがいも、お肉。
そして、常温保存のカレールーが棚に入っているのを確認し、まな板を取り出した。
私は3人にそう声をかけ、お肉や人参を切る。
貴久くんが『人参は嫌』と小声で主張する。
貴久くんは人参が嫌いなのか。
シゲアキくんに食べるように説得されて居るが、貴久くんには『大きくなる』は大して重要ではない目標なようだ。
でも、男の子は少からず『大きくなりたい』という夢があるのではないだろうか?
そう疑問に思った私は貴久くんに聞いた。
と。すると貴久くんは笑顔で
と答えた。
私同様に不思議に思った、慶一郎くんが理由を貴久くんに聞いた。
すると貴久くんはまたまた笑顔で
と、答えた。
これには慶一郎くんもシゲアキくんもクリティカルヒットを与えられたようで。
と、貴久くんを2人してぎゅっとしていた。
今初めて、慶一郎くんとシゲアキくんの心からの笑顔を見た気がする。
シゲアキくんって意外とガサツなんだなとも思った。だって、貴久くんの頭の撫で方が乱暴だったからw
そんな可愛い3人を見ていたら、カレーなんてあっという間に出来ていた。
慶一郎くんも、貴久くんも、シゲアキくんもどのくらい食べるだろうか。
貴久くんは人参を減らして。慶一郎くんとシゲアキくんに嫌いなものはあるのだろうか。
そんな事を考えながらよそうご飯はいつもより美味しそうに見えた。
あんなに警戒心の塊だったシゲアキくんが『信用していい』なんて単語を口にするなんて思ってもみなかった。だから、ただ単に嬉しかった。
盛り付け終わった4人分のカレーライスを机に乗せて。
久しぶりに誰かと一緒に食べるご飯。
美味しそうな匂いが鼻を抜ける。
4人同時に口を開いて。
『いただきます!!!!』
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。