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第12話

一郎
271
2022/01/24 14:21
シスター
ちょっと一郎くん!!
シスターが俺を呼び止める
山田一郎
山田一郎
ンだようっせえな
俺がイラついた声で返せば顔を赤くして説教を始めた。うぜえな、いい加減にしろよ
シスター
一郎くん人の話しは最後まで...っ!
山田一郎
山田一郎
親面してんじゃねえよ
シスター
一郎くん...っ、
傷付いた顔をしたシスターは後退って口をつぐむ。すると奥から足音が聞こえてきた
山田二郎
山田二郎
シスター!
山田三郎
山田三郎
シスター大変です、向こうであの子たちがまた喧嘩してて...ぁ、いちにい……
山田一郎
山田一郎
……
さっきまで焦った顔だったのが急に不安な顔つきになる。二郎はそんな三郎を見て俺を睨んだ
山田二郎
山田二郎
...どこ行くの?
山田一郎
山田一郎
...事務所
山田三郎
山田三郎
また、あの人達の所ですか...?
三郎が俺に敬語を使い始めたのはいつからか。気付いた頃にはもうこうだったから今更指摘もしない
山田一郎
山田一郎
ああ
山田三郎
山田三郎
その...今度のクリスマス会ですけど、もし良ければいちにいも……
山田二郎
山田二郎
おいやめろよ
山田三郎
山田三郎
っ、だって...
山田一郎
山田一郎
……
二郎と俺の目が合う。
山田二郎
山田二郎
っ、...
が、二郎は直ぐに目を逸らして俯いてしまった。怯えた様子に俺は溜息をつく。すると2人はビクッと肩を揺らして奥の部屋へ戻っていってしまった
シスター
何も、2人にそんなあたり方...
シスターが俺を睨んだ
山田一郎
山田一郎
は?別にあたってなんか...
アイツらは前の施設での出来事で俺を怖がってる。だったら、関わらない方がアイツらの為だろ。それに、クリスマス会とか言う歳じゃねえし
山田一郎
山田一郎
夜には帰る...と思う
シスター
またそんな時間まで...一郎くん、一応聞くけど、危ないことはしてないのよね?テレビで見てるけど、あれは一郎くんが思ってるより危険なのよ
確かに。あんな言ノ葉党とかいう意味わかんねえ集団が作ったモン、危ねぇに違ぇねえけどさ。あれがなかったらどうやって俺らに身を守れっつうんだ?
山田一郎
山田一郎
ほっとけよ
そう言って、悲しげなシスターを背に、俺は事務所に向かった
_______________
ガチャ
事務所の扉を開けて中へ入れば、リビングで左馬刻さんが寛いでいる。奥には乱数が居てどうやら仕事をしているらしかった。机の上がごちゃごちゃしている
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
よう、一郎
山田一郎
山田一郎
うっす
振り返った左馬刻さんはタバコを咥えていて少し空気が煙たい
山田一郎
山田一郎
あなたと合歓ちゃんは居ないんすか?
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
おう、今2人でコンビニ行ってる。聞いただろうがセンセは出張で居ねえよ。来週帰ってくるとさ
飴村乱数
飴村乱数
あっれ!一郎じゃん、来てたの?
布の山から乱数が顔を出した
山田一郎
山田一郎
おう、ついさっき
飴村乱数
飴村乱数
来たなら言ってよね〜。あ、ちょっと散らかってるけどこっち来る?
よく見ると机だけでは飽き足らず、床にも椅子にも至る所に布が散らばっていた
山田一郎
山田一郎
いや...どこ、座れっつんだよ
飴村乱数
飴村乱数
あっはは☆
ガチャ
あなた
ただいま〜
碧棺合歓
碧棺合歓
あら、一郎くん来てるの?
玄関が開いて2人が帰ってくる
あなた
あ!一郎くん!こんにちは
山田一郎
山田一郎
おう、随分多いな。持つぜ
あなた
ありがとう。乱数さん仕事してるし、多い方がいいかなって
お菓子がたっぷり袋4つ分……まあ、仕事中の乱数は有り得ねえ程消費するしな
山田一郎
山田一郎
合歓ちゃんも
碧棺合歓
碧棺合歓
私は大丈夫よ。こう見えても力持ちなんだから
...まあ、そう、だな……この前パイプで輩ぶっ飛ばしたしな
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
おかえり
あなた
お兄ちゃん吸う時は換気扇回してって言ったでしょ?
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
へーへー
そう言われて左馬刻さんはタバコを揉み消した。吸うのはやめねえけど、あの2人に言われるとすぐ消すし、目の前では吸わねえんだよな。ああいうとこ尊敬する
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
つか一郎、ここ来る前になんかあったか
山田一郎
山田一郎
確かにここに来る途中、他のチンピラに絡まれた。まあよくある逆恨みの雑魚だったけど
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
埃っぽいんだよ。しかも煙くせえし
山田一郎
山田一郎
あー...1人タバコ咥えてたから
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
チッ、変な臭いつけて来やがって
犬かあんたは。なんて言ったら殺されるな
あなた
そう言えば一郎くん今日はどうしたんです?
山田一郎
山田一郎
え?ああいや、特に何もねえけど、
あなた
そうなの?私てっきり施設のお手伝いしてると思ってたから、来ててビックリしましたよ
ドクン、と心臓が飛び跳ねた。どうしてあなたが施設の話を?それに手伝いってなんの話しだ
山田一郎
山田一郎
何の手伝いだよ
あなた
今度クリスマス会やるんですよね?慈善活動のひとつとして毎年開催してるんだって
そして思い出した。三郎が俺を誘ったあのクリスマス会。それの手伝いを俺が?しかもどうしてその事を知ってるんだ?もしかして弟達にあったのか?
あなた
この前ビラ貰って、是非参加してくださいって言われたんですよ
山田一郎
山田一郎
そう、か...その、弟達には……
あなた
弟さんには会ってないよ?
少しホッとした。
山田一郎
山田一郎
そう...か
あなた
...?
キョトンとしているあなたに何と説明しようか困っていると左馬刻さんがあなたを諭した
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
あなた、人には言いたくねえ事の一つや二つあるもんだろ
するとあなたがバッと俺の方を向く
あなた
ごめんなさい一郎くんっ!その、私無神経で...!
山田一郎
山田一郎
いや!そんなっ、頭上げろよ、別に気にしてねえし、つかそんな深刻なもんでもねえし!
元々俺があんなことしたからこんなことになってんだ。
山田一郎
山田一郎
あんま弟達と上手く行ってねえんだ
あなた
そうなんだ...その、お節介かもしれないけど、一緒に居てあげなくていいの...?
山田一郎
山田一郎
え...?
控えめにあなたが言う。左馬刻さんがまた叱ってからあなたは口を噤んでしまったが、あなたの言葉は深く俺の心に突き刺さった。一緒に居てあげる、か...
あいつらは俺のことを嫌ってる。でもこれは俺が勝手に思ってることで、本当は寂しい思いさせてるんじゃないのか?
今まではお互い楽だろうからって思って離れてた。でも、俺らは俺ら以外に家族はいない。血の通った本当の家族はもう...俺ら3人しかいない。
今日三郎はどうして俺を誘ったんだ?
二郎はどうして俺から目を逸らしたんだ?
俺が怖かったからか?殴られるかもしれねえって、思ったからか?
でも俺はあいつらに手を上げたことは無い。なら何が怖かったんだ?
……俺に嫌われることが怖かったのか?
三郎は、俺に歩み寄ろうとしてくれたんじゃないか?
一緒に居てあげる。俺は離れてた方があいつらの為だと思った。
山田一郎
山田一郎
……なああなた
俺は左馬刻さんが居ない時を見計らって話し掛けた。左馬刻さんには...何となく言いづらいし
山田一郎
山田一郎
やっぱ家族は一緒にいた方がいいと思うか?
唐突な質問にあなたは驚いて暫く考え込んだ。だが、すぐに向き直って答える
あなた
そりゃ...勿論
山田一郎
山田一郎
……そう、か
考え込んだ俺に何かを感じとったのかあなたがまた口を開く
あなた
私、お兄ちゃんが居なかったら、今ここに居ないと思う。お姉ちゃんが居るけど、でも、1人だけいないって悲しいじゃないですか。まあ、勿論私1人だったらそれこそどっかで野垂れ死んでますけど、……どんな理由があっても、私はお兄ちゃんとお姉ちゃんが好きで、一緒に居たい。喧嘩する事はありますけどね
山田一郎
山田一郎
そう、だよな。うん。ありがと。...2人は、俺の事嫌いだと思うか?……あ
口が滑った。こんなこと言うつもりじゃなかったのに
山田一郎
山田一郎
わり、変なこと聞いた
あなた
2人って弟さんのこと?
山田一郎
山田一郎
……ああ
過去に何があったって、多分あなたは知らない。急にこんなこと聞かれても困るだろうな。
あなた
うーん、その、一郎くん達に何があったのか知らないから何も言えないけど…でも、弟が兄を嫌うって、ないんじゃないですか?その、喧嘩してもう顔も見たくないって思う事も多々ありますけど、でも、本当に、もう生涯で1度も会いたくないなんて絶対に思わない。…お兄ちゃんが私の事、もしそういう風に思ってたらってその時は怖くなるけど。
山田一郎
山田一郎
左馬刻さんに限ってそれはねえだろ
あの妹大好きな左馬刻さんだ。生涯で1度もなんてある訳ねえ。…俺は?この先ずっと2人とすれ違って生きていくのか?
山田一郎
山田一郎
……
あなた
一郎くん?
山田一郎
山田一郎
悪い、俺、今日帰るわ
あなた
分った、お兄ちゃん達帰ってきたら伝えるね
そういうとあなたはにっこり笑って手を振ってくれた。
_______________
ガチャ
施設の扉は開けるとベルが鳴る仕組みになってる。玄関の靴箱に自分の靴をしまい、踵を履き潰した自分の上履きを手に取る。すると奥から朝のシスターがやってきた
シスター
はいどちら様でー……一郎くん?
山田一郎
山田一郎
…ただいま
シスター
え!?よ、夜まで帰って来ないんじゃ…
山田一郎
山田一郎
…手伝おうと思って
シスターはポカンとしている
山田一郎
山田一郎
はあ…その、クリスマス会やんだろ。準備、手伝いに帰ってきた
シスター
まあ…!
驚いたシスターはあんぐりと口を開けて固まっている。だがすぐにハッとして皆のいる大広間へと連れて行ってくれた。入った瞬間、院の子供達全員の視線が集まる。院の子供は大体が小学生。中学生以上は俺と二郎三郎を入れても7人しか居ない。脚立に立って飾り付けをしていた二郎と目が合う。目を見開いて飾り付けを手にしたまま固まっている。
山田二郎
山田二郎
………兄ちゃ、うわっ!!
そしてバランスを崩して脚立から落ちた。幸いそこまでの高さじゃなかったから尻もちを着いただけだ。
山田一郎
山田一郎
大丈夫か?二郎
山田二郎
山田二郎
え…
山田一郎
山田一郎
頭打ってねえか?
山田二郎
山田二郎
え、あ、…うん……
山田一郎
山田一郎
高い所は危ねえし、俺がやる。それより向こう手伝いに行ってやれ
山田二郎
山田二郎
……な、なんだよ、急に
差し伸べた手を二郎が拒んだ
山田二郎
山田二郎
急に帰って来て、なんだよ、あ、兄貴面すんじゃねえよ…!
山田一郎
山田一郎
…っ、
山田三郎
山田三郎
二郎?どうしたんだよそんなに大声出して…っ!いちに、お、おかえりなさい
奥の部屋からダンボールを抱えた三郎が顔を出した。そして俺を見てまた驚く
山田一郎
山田一郎
ああ…ただいま
山田三郎
山田三郎
あの…あ、あの人達のところに行ったんじゃ…
山田一郎
山田一郎
クリスマス会、やるんだろ。手伝おうと思って
山田三郎
山田三郎
…!!
三郎が顔を明るくした。…そうか、やっぱ、俺の勘違いだったんだな
山田二郎
山田二郎
…っ、騙されんなよ三郎!こいつはついこの間まで俺らの事…っ、俺らの事避けて、…どうでもよかったんだろ…!?今更何しに来たんだよ…!!朝だってシスターに怒鳴ってたし、俺らの事なんだと思ってんだよ!
何も言い返せない。違う。俺はどうでも良くなんてない。お前らが大事だから俺は…今更こんなことしたって何にもならねえのは分かってんだよ。けど、ここで何もしなかったらそれこそ終わりだ
山田一郎
山田一郎
二郎……今まで悪かった。ほったらかして
山田二郎
山田二郎
っ、
山田三郎
山田三郎
…二郎、やめろよ、なあ……いちにいは僕らを思って戻ってきてくれたんだろ?…僕…
山田二郎
山田二郎
っでも、よぉ……
沈黙、重い空気が流れる
モブ
いちろうくん!ねえこっちきて!あのはこ重くて持てないの!
1人の児童が足にくっついて俺を呼んだ。指さした方へ連れていかれるとペットボトルの入ったダンボール。確かに小学生にこれは少しキツイな。
山田一郎
山田一郎
どこまで持ってけばいい?
モブ
シスターが上のおへやって言ってた
山田一郎
山田一郎
これ全部か?
モブ
うん
見た所あと3つある。人手不足だからってそんなもんもたせんなよ…絶対無理だって
山田一郎
山田一郎
これは俺が持ってくから、向こう手伝ってこい
モブ
うん!
タッタッタッと走っていく児童を横目に二郎と三郎を見る。なにか話し合ってるようだった
_______________
あれから色々手伝って日も暮れてきた。シスターが晩飯を並べてくれて皆が食べ始める。俺がこうやって食ったのはいつが最後だったかな。…前の孤児院が最後かもしれない
山田二郎
山田二郎
…兄ちゃん、なんで戻ってきたの
俺の前に座った二郎は顔を背けている
山田一郎
山田一郎
…ダチ、っつーか…チームメイトの妹に言われたんだよ。弟と一緒に居てやらなくていいのかって。そんで、お前らにしっかり向き合わなくちゃなんねえって気付いて…戻ってこない方が良かったか?
二郎はやっぱり、俺のことが嫌いなのか
山田二郎
山田二郎
……知らねえよ。急に戻ってこられても分かんねえ。
山田一郎
山田一郎
そうだよな
山田二郎
山田二郎
前の院長にしたこと、許してないし。まだ信用してねーから
山田三郎
山田三郎
…僕は、信じてます。きっとなにか理由があったんじゃないかって
山田二郎
山田二郎
はあ!?おい、三郎!
山田三郎
山田三郎
なんだよ
山田二郎
山田二郎
それ俺が言った後に言うなよ俺が感じ悪い見てえじゃん!
山田三郎
山田三郎
別にいいだろ僕は僕が思ったこと言っただけなんだから!
山田一郎
山田一郎
おいおいやめろよお前ら…中学生だろ
山田二郎
山田二郎
……
山田三郎
山田三郎
……
変わってねえな。こういう所は
山田一郎
山田一郎
今度から、もうちょっと手伝うから
そういった時の二郎の顔がちょっと明るかった気がするのは、俺の勘違いじゃないといいな