第8話

8:誘拐
565
2021/06/21 10:47
シオンside 



現在時刻は深夜2:50

良い子の皆さんはきちんと寝てくださいね

決して私みたく、夜の港などに行かないように
シオン
...ふぅ...
先程買った紅茶を喉に流し

ため息をつく





────自由

そんなもの、私には無かった。
生まれてすぐ、女だから跡継ぎに出来ないという
理由から、使用人に降格された


使用人は辛かった

王宮の方に大事が無い限り話しかけない


それが一番辛かった

実の兄にも、片割れにも話しかけられない。



そんな生活で7年

8年目に、ナギ様専属になり
話しかける事を許可された


ナギ様と私が双子だと知った時。
それは、前国王が晩餐会で話していた時だった


その日からだったっけ
ナギ様が私に話しかけて来たのは





何も分かってない


怒られるのはいつも私
ナギ様が話しかけてきたのに




何も分かってないのに、わかった振りをする



いつからだろう



彼を恨み始めたのは
シオン
今日で
終わるのです。いや、終わらせる
国王が私に言った


ナギ様を連れて帰ってくれば
私を一般人にしてくれると
シオン
行かなければ
私は寮に向かって走り出した









幸い、深夜だということもあり
人はおらず、寮にも明かりは点っていなかった



私はナギ様の部屋に侵入する

お願いです。私の自由の為なのです







私はナギ様が起きないように
姫抱きをして部屋を出ようとする




するとそこに
和泉三月
あれぇ...
まだ、起きてたのか...?
シオン
っ!!!!
三月様?!起きていたとは...
和泉三月
ん〜?
ってシオン?!
シオン
こんばんは、三月様
和泉三月
おい!ナギをどうするつもりだよ!!!!
シオン
どうするか... 
国へ帰らせます。私の自由の為に
和泉三月
お前の、自由?
シオン
はい。
和泉三月
ナギを連れて帰れば
お前は自由になるのか?
シオン
その通りです
和泉三月
お前が自由になるのはわかった
でも、そしたらナギの自由は
どうなんだよ
シオン
ナギ様はもう自由を体験しました
もう良いでしょう
和泉三月
っ...







もういいじゃないか
和泉三月
ふざけんな!!!!
シオン
...え?





和泉一織
どうしました、兄さん
二階堂大和
ふぁ〜ぁ
ドアから他のメンバーが除く









和泉三月
そんなの!お前の国と
同じ思考じゃんか!!!!
シオン
...なんですって?
私はナギ様をベッドに降ろして
三月様に向き直る
和泉三月
同じだろ!
なんていうか...
己の為だけに動くとか!
シオン
それは皆様同じでは?
和泉三月
っ...
和泉一織
違います
シオン
はい?
和泉一織
私達が六弥さんを残したいのは
私情だけではありません
シオン
ではなぜ?
和泉一織
ファンの皆さんの為です。
シオン
ファン...?
和泉一織
はい。私達のファンの皆さんは
六弥さんの歌に、ダンスに
人柄に好感を持っています
シオン
だからなんですか?
和泉一織
六弥さん自身も楽しまれています
シオン
ナギ様が?
和泉一織
はい。人一倍に
シオン
っ...
和泉一織
シオンさん。
貴方にお伺いします
主人の楽しみを奪うのが
秘書武官の役割なのですか?
シオン
...
和泉一織
メンバーに実害を与えられそうになって
何も言わずにはいれません
もうお引き取り下さい。
後日も何もなく。
シオン
...かしこまりました
七瀬陸
?!いいんですか?!
シオン
私"は"もう貴方達の前には現れません
今までの御無礼をお許しください
私はナギ様の部屋の窓から中庭へ飛び降りた








後ろからの
七瀬陸
シオンさんっ!!!!
という声には、気づかない振りをした

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