目が覚めて、顔を洗い、師に挨拶をする
それこそが俺の幸せだった
「雷夜を殺すなんてっ、できるか…」
師の苦悩の声が毎晩のように聞こえた。
こんなのは、嫌だ。
小さい、小さい覚悟を決めた
「雷夜、紅茶。彩苦と露鬼とお前の分も注げ。」
これも運命。
俺は自分の分に致死量の毒を盛った
「はい、どうぞ」
これは運命だ。
「雷夜、私のに毒を盛っただろう、交換してくれないか?こんなところで死ねないからさ」
師はいつも通り優しく微笑んだ。この笑み
俺はすごい好きだったなぁ
「いいですよ」
カップを交換する音がした
「先生。私のと交換いたしましょう」
彩苦が師のカップと交換した。
露鬼は淡々と見ていた。
「じゃあ皆。今までありがとうな!せーのっで、飲もう」
《せーのっ》
白眼を剥いて倒れたのは´師´だけだった、彩苦はにっこりとこっちを見てゆっくり口を動かした。
「これくらいの毒じゃ先生も私も死なないよ」
……こいつが´師´を殺したのか
「早く片付けようか」
露鬼、お前はなんでそんなに冷静でいられるんだ。
「こんなの予想しようと思えばできることじゃん」
俺の心を。読むな。
肉体をバラバラにして焼き付くしたのは露鬼がやった。
師は死んだ。好い人だった。
俺を成長させてくれてありがとう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。