第26話

青垣 将③
62
2018/12/22 11:17
「ではこれから指名手配中の´永藤紅´捜査会議を始めます」
今すぐにでも飛び出て佐々倉と一緒に駆け回りたい衝動に必死に我慢する。


「青垣先輩?青垣先輩っ」
視線を上げると佐々倉が自分を見上げていた
「もー会議終わってますけど!どーしますか?」
どうやらボーッとしてたらしい…
「とりあえずなんか聞けるかも知れない宛があるから行くぞ」


外は今日も黒い雨だった
~カララン~
店のベルが鳴る
「先輩、よくこんな場所知ってましたね…なんかちょっと驚きです」
カウンターのほうにちらりと目をやるとフードを被った奴がひとり。
「佐々倉、あいつが俺の宛だ。前の事件のときからちょっとお世話になっててな。お前は離れたところで一人で飲んでろ、くれぐれも男には気を付けろよ」
佐々倉は小さくうなずき煉瓦の壁際のテーブル席へ座った。自分はカウンターへ足を進めた。
「突然メッセージを送ってしまい、すいません。隣失礼しますよ。
あ、すいませーん俺もこの人と同じので」
店員が俺の前に荒々しく酒をおく。
「早速本題なんですが…メッセージで飛ばした通り、永藤紅の件でまた捜査が始まりましてね。それでよければ知っていることがあれば教えていただきたいんですよ。この通りなんで」
スーッとフードの奴の前に札が入った封筒を差し出す。
すると、今まで無言だったフードの奴こと'闇雲'さんが口を開いた。
「お金は受けとれません、ただ、、、」 
ジャキ
黒くて固いものが自分の横っ腹にあてられたのがわかる
それが銃だということも。奴は続けて口を開いた
「あなたに会いたいという方がいるのでついてきてもらえませんか?」
フードを払ったその顔は知らない女の顔だった
「少しでも私が気にくわない行動したらバーンですよ~」
語尾にハートがつくような猫なで声
長いフードのついた服に隠れて銃があてられていることは誰も気づいてない。眼球を動かし佐々倉を見るもやつは、、知らない好青年の男と呑んでいるし…声に出さず佐々倉を罵倒し状況を気づいて欲しいものの、冷静さを欠けた行動は命とりになるので止めておく。

この女だれだ
会いたいのって誰だ

頭の中に無数の文字が浮かびつつ店の奥の裏口へと歩いた
店から出てすぐの角を曲がるといっきに暗さが増したように感じられた。
「これくらいでいっか~」
女は、銃を体から離し、(といっても銃口はかっちり俺の眉間なのだが)数歩後ろへ下がった
「ごめんねぇ。こーんな面倒くさいこと私もやりたくないんだけどさ。いつもお世話になってる人からの依頼でさ~お、きたきたっ」
反射的に後ろを向いた瞬間鉄パイプが自分のもといた場所の左側に振り下ろされていた、のを見届けたと思いきやまたもや後ろから鉄パイプ。今度はしっかり肩で受け止めた。今までに感じたことのないぞわぞわとした気持ちの悪い感覚が背をつたっていきあまりの痛さに腰を濡れた地面に落とす。
「一回目外されちゃいましたよぉ、べーさん」
「べーさん、べーさん!俺はちゃんとヒットですよ」
「はいはい。じゃー君たちの仕事は終わりだから先帰っててね」
顔をあげると横には佐々倉が倒れていた。両足を撃ち抜かれた穴から鮮血を流していた
「佐々倉っ」
「うっ、うぅぅ」

パチパチパチパチ
今度は違う男が目の前で手をたたいた
「君が?俺に会いたかった青垣将さんかな??」
目の前にいたのは佐々倉と一緒に呑んでいた好青年だった

「どーも。雷夜と申します」
ゆっくりと雷夜はお辞儀をした。隣の'べーさん'は、いまだに銃口をむけている
「こんな形でお呼び立てしてしまい申し訳ございません。こちらは現在指名手配中の'永藤紅'さんです。以後お見知りおきを」
雷夜の馬鹿丁寧な口調に吐き気がした
「警察の方だと聞いて興味がわきお話したいのですが…とても残念なことにおちおちここに居るわけにもいかなくなったので今日のところはもう失礼します」
こんな狂ったやつと話しなんかできるか。佐々倉を撃ったのもきっとこいつだ。雷夜はこんな声でこんな顔なのかそれともまた作り物か…今。自分にできることは……
「さようなら。青垣さん。」
雷夜がくるりと自分に背をむけた、永藤も銃を下ろし、tッ

パァン

自分が手にもつ銃口からは煙がでていた


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