〜次の日の朝〜
駿佑:あ、あなた!おはよう!
あなた:……
昨日のことがあってからもう関わりたくない。そう思うようになった。
というより、いじめっ子と関わる勇気すらなかった。
駿佑:なぁ。あなた…
あなた:……ねぇ、そこの男の子!
私がなんとかしなければという思いからいじめられてた男の子と仲良くしようかな…なんて思うようになった
???:ぇ…? 僕?
あなた:そうそう!名前、なんて言うの?
???:あ、長尾謙社…。
あなた:ながおけんとくん?
謙杜:うん!
あなた:なんて呼ぼっか?
謙杜:なんでもいいよ
あなた:謙杜くんにする!
謙杜:そっか。なんて呼べばいい?
あなた:なんでもいいんだけどなぁ…あなたとか呼び捨てでもいいよ
謙杜:あなたにする
あなた:うんうん!
女子A:ねぇ、恭平くん。あの子、駿佑くんと仲良くしてると思ったら次は長尾と仲良くしちゃってるけど?w
女子B:ウケる~
次第に私を嘲笑うような声が聞こえてきて、やっぱり私には正義のヒーローなんて似合わないなっておもってた。だけど、このままにして置けないと何度も謙杜くんの相談に乗ることにした。
あなた:え!駿と恭平さんと同じ中学なの?
謙杜:うん。でも、中学はこんな感じじゃなかったで
あなた:高校入ってからこんなことになってるんだ…?
謙杜:うん。主犯はその2人なんやろうけど
それでも直接2人からなにかされたことないねん
あなた:せこいね。自分の手汚したくないだけでしょ。仲良くなって損した。最悪…
謙杜くんの相談を乗るにつれて、話しかけられたことに損したな…という気持ちが増えていくばかりだった。
キーンコーンカーンコーン
あなた:あ、じゃあ帰るね!バイバイ!
謙杜:バイバーイ!
1人でてくてく歩いてたら後ろから声をかけられた。聞き覚えのある声に…
振り返ると駿がいた。
あなた:なに?
駿佑:いや…謝らなあかんなって思ってさ…?
あなた:いや、いい。謝らないで。
また、早足でその場を去ろうとした。
駿佑:なぁ。ほんまごめん。
あなた:なにがごめんなの?
駿佑:…え?
あなた:何もされてないけど?
駿佑:ぇ…。そっ…か。
あなた:私じゃないでしょ?謝らないといけないのって。
駿佑:……
あなた:何も言えないの?!悪いと思ってないのに私に謝ったの?急いでる中足とめられてそれだけ?!ふざけんな!自分は怒られたくないから他のやつにあれこれさせて、タチ悪すぎない?頭おかしいんじゃない!?今すぐ行けば?!謙杜くんのとこ!土下座でもしてこれば!
いった…
いってしまった。
ただの転校生が、一軍の陽キャに…こんなこと。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。