盧笙side
時刻は18時。学校での勤務を終え、疲れを少しでも癒そうと早急に帰宅して来た。 はぁ……っとため息をつきながら鍵を開け、自宅のドアノブに手をかける。
ガチャッ
そこにはよく見なれた靴が2つ、揃えて置かれていた
ドタドタ ガチャッ!
勢いよくドアを開けると緑の髪色をした糸目の男と肩ぐらいの長さの髪をした小柄な少女が仲良く隣に座りテレビを見ている
まぁた勝手に入りやがった…
そう言う緑髪の男は白膠木簓。大阪division、どついたれ本舗のリーダー。
この少女はあなたのなまえ(フルネーム)。かの有名なDJ ROKUROの弟子である。1人前と認められていくつかの月日が経った。現在は各ディビジョンをまわり経験を積んでいる
……正直ここにおって経験になっとんのかわからんけど
帰宅して疲れを癒すどころか疲れが増していっとるんは気のせいやろか
呑気にボケよって…
"盧笙"
不意に名前を呼ばれあなたを見る
あなたは立ち上がってこっちに向かってくると俺の手から荷物を取った
なんや?
わざわざ飯作ってくれたんか……ありがたいな
あなたの頭にポンポンと手をのせるとふふっと笑いにこにこする
ほんまに可愛い…
ニヤニヤして簓がこっちを見ている
ほんまにうるさいなこいつどついたろかな
あなたの頭から手を離し、おちょくるような言い方をする阿呆を睨む
このやり取りを見てどうやったら仲良いって解釈になんねん
行ってらっしゃいと手を振ってくるあなたに微笑みを返す
はよ飯食お…
手を洗いリビングに戻ろうとすると2人の会話が聞こえてくる
全部聞こえてんねん……デリカシーの欠けらも無いやつやな
何言うてんねやこいつ
会ってまだ日は浅いけど仲良いと思ってくれてんやな
なんや嬉しいわ
なんやそれ、いつもは勝手に食っとるくせに
何故かわからないが耳が熱を持っている感じがする。
あなたはほんまにええ子やな
てれ、照れてんのか?俺
あなたの方を見ると謎に嬉しそうな顔をしている
どういう感情なん
自分でもわかりやす過ぎる反応を取ってしまい思わず顔を逸らす
顔まで真っ赤になっているのが自分でもよくわかった
ご馳走さん
あなたside
食事の片付けを終え簓の横に座ると先程まで学校から持ち帰った仕事をしていた盧笙が簓と挟む形で私の隣に座る
そう言って盧笙は簓を睨んでいる
調子の良いこと言ってる
簓は盧笙の家でくつろぐのは慣れてるんだろうけど、やっぱりなんかしてあげた方が……
簓はん〜と考え込むような素振りをみせる
……ろくなこと考えてないだろうな
そんなことだろうと思った
簓の声を遮って盧笙が話しかけてくる
わざと……?
話を遮られて簓は少し不貞腐れている
ちょっと怒っちゃったかな?
盧笙、簓のこと全く気にしないで話すな……自分もノってるんだけど
ちらっと簓の方を見ると頬を膨らませてこっちを見ている
(( ギュッッ
!?
突然後ろから勢いよく抱きつかれ盧笙に向かって倒れそうになるのを簓が右腕で支える
倒れそうになって簓もびっくりしてるし…
て、なんで急に抱きつく?
簓が盧笙に向かって舌をべっとだす
盧笙は顔をしかめて明らかに機嫌が悪そうにしている
盧笙キレてる…
抱きしめたまま離そうとしない簓に眉をひそめて少し押し返す
離すように頼んだのに一層強く抱き締められる。成人の男性の力にかなうはずもなく逃げれそうにない。
痺れを切らした盧笙が簓を私から離そうと私の腰当たりを掴んで自分の方へ引き寄せる
ググググググッ
前後から抱きつかれ引っ張られ、めちゃくちゃになる
案外直ぐに離してくれた
なんか申し訳ないな けどまぁ、いいか
簓side
時刻が22時になろうとした頃、あなたとテレビを見ていたら盧笙が問いかけてきた
あなたがどうする?と言わんばかりにこっちをみている
俺は少し上を向いて悩んだ様子をとり、口を開いた
盧笙が拍子抜けというような顔をしてみてくる
眉を下げて悲しそうな声色にして言ってあなたを見ると
めっちゃ真顔やん
なんやねんその冷めた反応
な、盧笙なんてこと言うんや……冗談やとしても普通にショックやで…!?
ほんまに寂しがっとんだかよぅわからんな
それならまぁ、ええけど……
そうや、元々あなたは東都の方に自分の家あるんやし一旦あっち戻るんかな…
今はここにおるとしてもそのうち他のディビジョンんとこ行ってまうんやろな……
あなたのまだまだここにいるという言葉に心做しか安堵する
盧笙が悩んだ顔をしてゔーんとうなっている
え!いいの!?/はぁ!?ダメに決まっとるやろ!!
いやいや!盧笙何言うとんねん!!!んであなたはなんで了承すんねん!!!!
俺が決める権利はないのは、分かっとる でも嫌や、俺がおらん時に2人が同じ家で過ごすなんて
盧笙がなんかするとは思えんけど……せやけど、盧笙やて男やし、それに多分、多分やけど盧笙はあなたの事が好きや
盧笙も俺があなたを好きなんに気づいとる
早いもん勝ちや言うて先越されたらどないしよ……
クソぉ盧笙のやつ、絶対譲らん気や 絶対好きやん!!
あ〜もう!なんでこないな言い方しか出来んねん俺!
あなたの顔明らか戸惑っとるし、なんや悲しい顔しとるやんけ!!
なんやねんこいつ!顔笑っとるやないか!!
あなたまで俺がガキみたいに言いよって……
あなたが緑の髪に手を伸ばしてわしゃわしゃと掻き回してくる
なん、やねん急に……
ムカッ こんのぉおお
バシッ
バシッ
もうそんな時間なんか、早いなぁ……仕方ない、ここは一旦引いてやろう
一旦引いて、何するかなんて1つに決まっとる
目線を下に向けて声を小さくして言うあなた
牛乳……?またか?毎日飲んどるな
まぁ、十中八九身長気にしとるんやろな
身長気にしとんのか聞いたろ
バシッ
盧笙並にわかりやすいやん
あちゃ、怒らせてもうた
全然怖ないけど
飲み物を持ってきた盧笙があなたに温めた牛乳、俺にはよく冷えたビールを渡す
あなたが ろしよぉ〜……!!なんて言い方をする
は…?なんやねんそれ
盧笙があなたの目をじっと見つめて言う
あなたの耳が赤くなってるのは気のせいではないだろう
盧笙急にどうしたん攻めすぎやろ、俺追いつけんやん!
ゔぅん、阻止したる……!
あーあああーぁあ!!!なんやねんあなた、俺にはそんなこと1回も言ったことないくせに……
はぁ〜?酷すぎなんて言っとるとあなたがくすくす笑い始めた
なんやその可愛い笑い方
かんぱーい!!
お邪魔しましたー!
(( フリフリ
あなたside
タクシーをひろい、簓の住むタワーマンションの地下駐車場まで送ってもらった
運転手さんにお礼を告げ降りようとするが簓は微動だにしない
簓さっきからぼ〜っとしてる…
ちょっと飲みすぎて眠いのかな?海外ロケのためにあんま飲まないように言ったんだけど……
ガチャッ
帰宅してそうそう何をしているのか簓は玄関の段差につまづいてしまったらしく、目の前で転んでいる
簓に近寄り床に打ち付けた顔を覗き込む
簓がゔぅ〜…と唸りながら顔を上げる
微かに目尻に涙が見える
簓の涙を指で拭い、頭を撫でる
大丈夫かな?一応怪我はしてないみたい
なんか簓顔赤くなってる気がするけど……気のせいかな
喋り方からして本当に目は覚めたみたい
早く寝ないと、朝辛くなってしまう
簓が立ち上がり、リビングへ歩きながら話す
簓を早く寝かせようとして言ったのだが、簓はどこか不服そうな顔をしている
手をポンッと打ち付けて何か思いついたような顔をする
え。何言ってんの簓ほんとに何言ってんの
簓が言い終わらないうちに言うと顔をムッとさせてこっちを見る
盧笙の家で飲んだことを忘れたのか……
子供のように駄々を捏ね始める簓
酔った簓はぼーっとするかやかましくなるかのどちらかになる
これが26歳…とても思えない
これいつまで続くの?早くしないと簓が寝るの遅くなる
そう言って着替えを寝室から持って脱衣室に向かう簓
フンフンしながら移動しているのは本当に子供のようで可愛い
簓side
俺、大分やばいこと言ってもうたな……
風呂に入っているうちに酔いが冷めてくると先程の自分の発言が思い返される
酔ってたとはいえ一緒に風呂入ろなんて変態やないかい 絶対あなたに引かれてもうた……
意外とそんな気にしてないんか……?
26歳児ってなんやねんどこまで子供扱いすんねん
何笑っとんのや…俺が何考えてるかも知らんで
あなたはこう言うけどなぁ……しばらく会えんのに大人しく一人で寝るわけないやろ
なかなかあなたも譲らんな…
それはそうやけど……
なんで笑うねん……!こっちは恥ずかしぃん我慢しとんのやぞ!
あ、あかん俺思ってたこと全部口に出してしもた……!!!
あ〜もう、あなた戸惑っとるやんけ
図星すぎて言い訳出来ん
俺がおらんくても、盧笙と零が一緒におってくれるやろ…きっとなんも寂しない
この言葉を信じたい、信じたいけどどうせ嘘やってあなたは優しいから俺に気使っとるだけやって決めつけてる自分がおる
なんで素直に信じてやれんねん
ホンマに自分のこういうとこが嫌いや
多分今の俺は信じれんって顔しとる、あなたが悲しむやろ、……
あなたが言い終わる前に口を挟んだ
絶対これだけは譲らん!
そう言うとあなたは眉を下げて口角を上げる
わがままな子供を優しく見るような目をして
あなたside
脱衣所から出て簓が居るであろうリビングに行くと案の定テレビを見て私を待っている簓が居た
ま、大人しく寝てるわけないよね
万遍の笑みで返事をする簓
ご機嫌で可愛いな
髪を乾かしながら簓が聞いてきた
髪…実際、簓の家に居候させてもらってからというもの、髪の調子がすごく良くなった気がする
私がそう言うと簓は何かを閃いたような顔をした
これは……
自分で言って自分で絶賛している 普段なら、またか……と思うところであったが何故か私のツボにハマってしまった
自分でも何がそんなに面白いのかよく分からない それなのに笑いが込み上げてくる
簓も私がこんなに笑うと思わなかったのだろう、面白いと言われて喜ぶどころか驚いて、戸惑っている
褒めてるつもりが褒めてないみたいなニュアンスになってしまった
そう、寂しい、簓と3日会えない、簓が3日帰ってこないたったの3日のはずなのに心に穴が空いたように寂しい
簓が3日海外ロケに行くと聞いた時からずっとこの日が来るのが嫌だった
元々東都にいた私は数年前イケブクロで簓と出会った
MCD 、 NB
みんなといるとよく事件に巻き込まれて、それでも楽しかった それは確か
けど、そんな日々は長くは続かなかった突如として訪れた別れ、あの時の簓は別人のようだった
簓は大阪へ帰りしばらく会う事も連絡を取ることもなかった
何故あんな事になったのか それを知ったのはTDD解散後、乱数に全てを打ち明けられたことで知った
その後私はDJ ROKUROと出会い、DJとして活動することを決めた
晴れて一人前となりDJとして経験を積む一環から大阪ディビジョンに行くことになった
代表メンバーを聞いた時には本当に驚いた、そして嬉しかった
大阪へ来て寝泊まりはどこでするかという話になった時簓に俺の家におったらええやんと言われ言われるがまま居候させて貰うことになって現在に至る
久しぶりに会った簓は他人に対してどこか丸くなっていたが、それ以外は特に変わった様子は無い
私に対しての対応も以前と変わらず仲良くしてくれている 恐らくマインドハックは解けたのだろう
大阪にいる間はずっと簓といられると思っていた
しかし、簓は人気絶頂の芸人であり同じ家にいてもなかなか一緒にはいることはなかった
朝は一緒に起きて夜は盧笙の家へ行き一緒に帰って一緒に寝る
それがルーティン化していた
けど、3日間、それすらも無くなってしまう
簓といられる限りない時間が無くなってしまう
久々に会ったのにな、もっと話したいこといっぱいある簓と盧笙と零で話したい、私はお酒飲めないけどみんなで飲んでワイワイしたい
次のディビジョンに行くまで日はあるが無限では無い
それまでにどつ本みんなとの中を深めておきたい
簓と盧笙の話、零との出会い、色々知りたい
そう思ってるのに簓は……
それが信じてないってことだよ簓
簓は時々自己肯定感が低くなりすぎる
私の言うことを信じることが出来ないのは、自分の事を私がそんなに考えてるなんて思えない、そういうことなんだろう
ばかだな、大事に思ってるのに
まぁ、それが簓なんだけど
それから簓は何も言わなくなった
私も何も言わない
気まずい空間が流れる
聞こえるのはドライヤーの音だけ
簓が私の髪を乾かし終わった簓が口を開き沈黙の時間に終息がたたれた
沈黙の時間と言っても、私の髪を乾かし終わる5分やそこらである
それでも、私と簓にとっては大きな時間
普段は絶え間なく会話が続くから、沈黙の後何を言ったらいいのかわからない
とりあえずお礼を、
簓はその一言で返事を返す
いつもなら
「簓さんのおかげでさらさらやな〜お礼のちゅ〜してや!!」
とか冗談を言ってくるのに
簓が脱衣所からリビングに戻ろうと私に背を向ける
簓が私の方を見る
背は向けたま私が視界に入る位置に頭だけを少し振り向かせる
簓の背に私は抱きついた
自分でもなんで急に抱きついたのか分からない、ただこの空間が耐えられなかった
この空気を断ち切る言葉が思いつかない、だから行動で示すしか出来なかった
抱きついて、心を落ち着かせてから
ゆっくり口を開いた
言葉がまとまらない、
思っていることを言葉に上手く表すのは苦手だ
けれど、簓には気持ちが伝わったようだった
私が手を離すと簓が、私の方に身体を向ける
ぎこちない返事、それでも簓の嬉しさと申し訳なさが伝わってくる
ここは謝るとこじゃない、謝らないでよ簓
私がそう言うと簓は驚いた顔をする うっすら綺麗な黄色い瞳が見えた
目尻に涙が浮かんでいる
そして顔を赤くしている
え、簓泣いて、
急に大きな声を出す簓に驚くと"あなた"と呼ばれる
私がそう言うと簓は唖然として口をぽかんと開けている
私が簓を好きなのは紛れもない事実
疑う余地ないでしょ好きでもない人と同じ家で同じ布団で寝ないっての
私がそう言い切ると簓は少しの間の後に口を開く
何故か簓は今の私の発言に対して少し怒ったようだった
盧笙の事好きって言ったらだめだったのかな?でも、盧笙のこと好きだし…
何がダメなのか……
簓だって盧笙を好きなのは同じでしょ
簓は呆れたように言う
本当に何がダメなのか、
どこのディビジョン代表のみんなも私は好き、大好き
簓はそれをいいように思えないらしい
以前イケブクロで簓といた時、 「すぐに人を好きになるんやめた方がええで 」 と言われたのを思い出した
確かに私はすぐに人を好きになり過ぎなのかもしれない でも、嫌いな人が多いより幸せだと思う
好きな人が多いのはそんなにダメなことなのかな
簓はなんでこんなに嫌そうなんだろう
そう言って簓は私の手をグッと引っ張り寝室へ向かう
言及する私をなだめるように言う
何が嫌なのか、それは教えてくれないみたいだ
仕方無い、今は寝る事が最優先
今回は折れるしかない
適当な返事をしながらベッドへ腰掛ける簓
教える気ないなこれ
私がそう言うと簓はベッドの横で立っている私の手を引き寄せる
1人で寝るには十分に広い、2人で寝ても余裕があるぐらいのベッド
ここへ来た時私は ソファで寝る と言ったが、簓は 「そんなんあかん!俺がソファで寝るそれが嫌なら一緒にベッドで寝る」
と言って聞かなかった
私がベッドへ寝転がると簓は布団をかけて私を抱き寄せる
いつもこうして寝ている
くっついて寝るから、ベッドが狭いと感じたことはあまりない
今日はなんだか抱きしめる力が強い気がする
簓が私の耳元で囁いた











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。