第31話

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2021/03/09 12:53
はぁ……はぁ……
息が上手くできない……
壁を破るにも体力がもう持たない。
体を縛られ、布で口を塞がれていてかろうじて息ができるくらいだ。
その中、火がさらに強くなっていてすごく熱い。
怖い。怖い。
今まで上手く忘れていたのに。
こんなの……思い出しちゃうよ……
10年前
「お姉ちゃん!遊ぼ!」
「もうしょうがないなぁw」
私には2歳離れたお姉ちゃんがいた。
「真冬ちゃん!」
「あ、今日も来てくれたのね!じゃあみんなで遊びましょう!」
「うん!透夏姉ちゃん!」
お姉ちゃんは私と真冬を実の妹のように接してくれていた。
私とお姉ちゃんは親が再婚してできた姉妹だった。
でも私は物心着く前から一緒にいたから知らなかった。
お姉ちゃんの日記を見るまで。
そこには私たちの真相が書かれていた。
そして、お姉ちゃんの病気も。
お姉ちゃんは未知の病にかかっていた。
体が通常より熱くなって周りを燃やしてしまうほどの熱を発生させる。
そして私と血が繋がったお父さんがお姉ちゃんに意地悪をしていたこと。
お姉ちゃんが何かを隠していたのはお父さんにつけられた傷を隠していたのだ。
その日、私は泣いた。
絶望した。
お姉ちゃんが大好きだったからお父さんを憎んだ。
日記を見た事は秘密にしていた。
でも、お姉ちゃんの様子は次第に変わっていった。
話しかけてもどこかぼーっとしていた。
数日後、姉は倒れた。
自分の体の熱さに耐えられなくなった。
私はお姉ちゃんにしがみついていた。
でも、お姉ちゃんは目を覚まさなかった。
お姉ちゃんが倒れた2,3日後の真夜中。
深夜零時。
お姉ちゃんは自らの熱で家ごと燃やした。
そして、命を絶った。
同様に、親も死んだ。
でも、お姉ちゃんにくっついていた私だけが何故か助かった。
気づけばお姉ちゃんの日記を抱えていた。
それを読むと、お姉ちゃんはあの酷いお父さんの娘である私を大切にしてくれたことがわかった。
私だけは助けて下さいと、お姉ちゃんはずっと祈ってくれていた。
その後、私を引き取る場所で話し合いになった。
私にはおじいちゃんもおばあちゃんもいない。
親戚の話は全くなかった。
聞いても「うるさい、死ね」と言われた。
その中、真冬の親が真っ先に私を引き取ると言ってくれた。
そこからは真冬とずっと一緒だった。
そして、お姉ちゃんとの記憶も同様に私に纏わりついていた。
ある日の夜。零時。夢を見た。
家が燃えていた。
その中にお姉ちゃんが倒れていた。
そしてお姉ちゃんは私に言った。
「お前さえいなければ……」
私は飛び起きた。
私は泣いていた。
すると真冬が来てくれた。
私は唸っていたらしい。
真冬は私を抱きしめてくれた。
その日から火事のことも、親のことも、お姉ちゃんのことも、全て忘れることにした。
私は弱いから、耐えられなくなった。
でも、火を見るだけで冷や汗が出てくる。
忘れたはずの事が鮮明に思い出される感覚に私は恐怖を感じるようになった。
だから私は、火が嫌い。

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