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鳥の囀(さえず)り声と共に迎えた朝。
今日もまた旅が始まる―
女は気だるい身体を起こし、伸びた。
何度も野宿はしてるが、こればかしは慣れない。
今までふかふかのベットを愛用としていた彼女は、床みたいな硬い所で寝るなんて想像してなかった。
女の手元には数枚の硬貨しかなかった。
元々買い物依存症の彼女にとってお金は、ばらまくという行為だった。
旅に出て街に寄れば買い、街に寄れば買う――そんな事ばかり繰り返してきた。
すると女は食べるものが買えないと気づき、あれ以降使わないように気をつけた。
己の欲とは醜いものだ。
女は鼻で笑い、水を口に含み旅へと歩んだ―
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。