第12話

退屈な昔
14
2018/08/15 17:05
輝天萌
――――知りたい?
蒼凰
...っ!!
意味ありなげな笑みを浮かべると、蒼凰は生唾を飲んだ。
輝天萌
...冗談だよ。
蒼凰
はぁ?
急に真面目そうな顔でビックリするだろう!
輝天萌
ごめんね。
...私ね、外の世界を見てみたかったの。発想が子どもぽっいでしょう?
輝天萌
だけど外から出ることが許されなかった。
1度でもいいから大地に踏み、晴空を見て、色んな体験をしてみたかったの。
ぽつりぽつりと語る輝天萌。
蒼凰はその言葉を黙って聞いた。
蒼凰
...。
輝天萌
退屈だったの。
みんなと同じ景色を見て、毎日同じ事を繰り返してつまらなかった。
輝天萌
だけどね、蒼凰から手紙をくれた時初めて外へ行くことを許してもらえたの。
"旅は大変だったけど色んな経験して楽しかった"
そう言うと輝天萌は夜空を見上げた。
蒼凰
――なぁ、もう1つ聞いていいか?
輝天萌
ん?
蒼凰
輝天萌って――
"お嬢様なのか?"
輝天萌
え?
輝天萌
まさか。
こんなめんどくさがり屋のお嬢様がいると思う?
蒼凰
ふっ。
だよなー
輝天萌
だよなーってちょっとぐらい否定してくれたっていいじゃん!
蒼凰
悪い悪い
先ほどまで流れていた空気とは違い、穏やかなものが流れた。
輝天萌
(蒼凰、もしかして―――)
気づいたかもしれない。
しんみりとした話をしていたせいか、周りの空気が暗くなっていた。
輝天萌
...ありがと
蒼凰
ん?
その流れを変えたのか分からないが蒼凰に感謝した。
輝天萌
話、聞いてくれて
蒼凰
どういたしまして。
オレは輝天萌の味方だからいつでも話せ。いくらでも聞いてやるから。な?
また蒼凰の言葉が輝天萌を狂わせる。
輝天萌
うん、ありがとう
輝天萌は照れながら蒼凰にお礼を言った。

プリ小説オーディオドラマ