ポツポツ――
雨が2人を濡らし始める。
"急ごう"と言いかけた瞬間、空に眩い光が蒼凰達を脅かした。
輝天萌が指した先は洞窟だった。
2人は洞窟へと走った。
先ほどまで晴れていたのが嘘のようだ。
天気は次第に大荒れとなった。
蒼凰は素早く火をおこした。
暗かった洞窟に明かりが灯る。
蒼凰は輝天萌の腕を引き、自分の膝の間へと座らせ、輝天萌を包み込んだ。
これじゃ蒼凰に心臓の音が聞こえてしまうではないかと輝天萌は焦っていたが、蒼凰はそうでもなさそうだ。
なんか悔しくてそっと横目で蒼凰の様子を伺うと、ほんのり赤く染まっていた。
"照れている"
なんだか嬉しかった―
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。