第11話

再び
12
2018/08/15 07:00
――――――――
輝天萌
――おかしい...。
この辺りにあるはずなのに...
蒼凰
――そうだな。
どこかで間違えたかもしれないな。
輝天萌
ごめんね。私が...
蒼凰
輝天萌のせいじゃないから気にするな。
輝天萌の頭をポンポンとあやした。
輝天萌
―!?
ちょ、子ども扱いしないで!
蒼凰
ははっ!
なんだ?照れ隠しか?
輝天萌
蒼凰!!
蒼凰の1つ1つの仕草や言葉が輝天萌を焦がす。
輝天萌
(わざとなのか天然なのか分からない...!)
蒼凰
もうすぐ陽が傾く頃だ。
今夜泊まれそうな場所を探そう。
蒼凰がそう言うと、空が茜色に染まり始めた。
輝天萌
本当だ...。
もうそんな時間...。
1人で旅をしていた時と違って時間が過ぎるのが早く感じた。
輝天萌
(――これも"恋"の効果なのかな?)
『輝天萌ー』と遠くから蒼凰の声が聞こえ、輝天萌は急いで蒼凰の元へ行った――
―――――――
輝天萌
―――はー。
今日も疲れたねー
蒼凰
そうだね。
はい、お疲れ様さん。
蒼凰が山菜入りのスープを渡す。
輝天萌
ありがとう。
『いただきます』と手を合わせて頬張った。
蒼凰
...そういや、輝天萌ってその手紙を頼りにして旅に出たって言っていたよな?
輝天萌
ん?そうだけど...。
それがどうかし...熱っ!?
蒼凰
だ、大丈夫か?
どうかした?と問いかけると共に冷ましたはずのスープを口に入れようとしたら、まだ冷ます途中だった。
輝天萌
へ、平気...。
んで、それがどうかしたの?
蒼凰
いや。ふと思ったんだけど、急に『会いたい』って送られたら誰だって来ないだろ?それが不思議だなと...
輝天萌
あぁ。
―――――知りたい?
不思議に蒼凰になら話してもいいと思った―――

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