暗闇の中、女が辿り着いた先は湖。
水も確保し、火をおこした。
そう呟いた瞬間―
ガサガサっ
女は身を構え、辺りを警戒した。
草むらから現れたのは男だった。
"大丈夫"――その一言がなぜか胸を熱くさせた。
2人の間に沈黙が流れた。
沈黙を破ったのは男だった。
女は手紙を取り出し愛おしいそうに撫でた。
男が手紙に触れた瞬間、一雫の星が流れた。
女は手紙そっちのけに夜空を眺めた。
キラキラと煌めく星空。
先ほどまで月しか見えてなかったのに嘘のようだ。
女は手を伸ばした。
掴めそうで掴めない。
男は笑うとそっと手紙の上から手を離した。
すると、まちまち輝いていた空が再び闇に染まった。
再び手紙に触れるとあの時の同じ光が見えた。
"手紙の主だよ"
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。