こんなこと今になって人に話すのは少し照れくさい気もするけど、
藤井くんには何故か気軽に話せた。
改まってそう言われた時はびっくりだったけど、
普段の彼なら絶対言わないであろう言葉を
私にかけてくれた。
頑張った、かどうかは結果にあらわれる。
結果私は負けたんだ。
所詮負け犬が、今更何言われても負けは負け。
でもこの時ばかりは
救われた気がした。
藤井くんが自分の頑張りを認めてない…?
そんなことあってはならない。
彼は人一倍努力してきた。
同じクラスじゃないけど
テストの順位を見れば一目瞭然。
お前の教室ここだろ、じゃーな
と告げられ、お礼を言い教室に入った。
「えー、今日の授業はここまでだ。各自復習を……誰も聞いてねぇな…はぁ…」
「まぁいい。これで終わりだ。ありがとうございました。」
最悪だ
授業ほとんど寝てた!!!!
みんなもう帰っていってる
今日起きてた科目どれだ?!
社会と…国語のみ!!
我ながらのアホさに一周まわって感動した。
私は廊下を全速力で走った。
桜木先生はどこかに行ったみたいだ。
幸いまだ授業は始まっていなかった。
水野先生にそう言われ、
昨日の自分の状況を思い出した。
みんなの優しさを感じたところで
桜木先生が帰ってきた。
みんなにも謝り、今日の授業は始まった。
明日、藤井くんと勝負するんだ。
藤井くんの点数に、1つでも勝ちたい…!
本腰入れて授業を受けた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。