思い切って気持ちを伝えたこと
後悔はしていなかった。
困らせたくない、と思いながら
逆に困らせてしまったことも分かっている。
寧ろ、前よりすっきりしていた。
私も自分が意味わからない
私だって
分からないんだよ、
振られる、逃げられる、避けられる
その覚悟は出来ている。
私はそれだけのことをしてしまったんだから
恋愛経験も浅く
過去に付き合った人数なんて1人くらいの私に
こんな状況を乗り切ることなんてできない
謝ることしかできない
彼の勉強の妨げになってるかもしれないから、
人が人を好きになることは自由かもしれない
だけど、付き合ってください も無しで
自分の想いだけ伝えて言い逃げだなんて
卑怯すぎたんだ
藤井くんの声は震えていた。
彼は、再び私の身長に合わせて屈んで
目を合わせてこう言った。
“俺も好き”
頭が真っ白になった。
こんなこと、初めて経験した
驚きで出なくなった声を、
必死に喉を抑えながら出した
藤井くんはそう言うと、
目線を落とした。
私は、今度こそ泣いてしまった。
藤井くんに最初にかけられた言葉
ちょっとちやほやされたからって調子に乗ったのか?
これから始まって
今、好きって言って貰えた。
藤井くんの彼女になった
実感がまだあまりなかった。
視界が遮られたな、と思って上を見上げると
藤井くんが抱きついてきた。
正確に言うと、抱きしめてくれたの方が正しいのかもしれない。
思わず本心が口から出たが、今となっては気にしない
実感は湧かないけど、彼女なら
かっこいいの一言くらい言わせて欲しい。
私はその場を離れ、
全速力で部屋に戻った。
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閲覧ありがとうございます😳
藤井くん推しじゃない人もいるだろうし
瀬戸くん落ちver も今度書きます〜!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!