それからというもの、私はずっと彼の曲を聴いていた。
何としてでも覚えたくて、
何としてでも彼のことを知りたくて、
何としてでもずっと好きなままでいたくて。
飽き性な私にとって、それはとても長く続く"愛"のようなもので。
どの曲も忘れたくなかったし、
ずっと自分の中の一番であって欲しかった。
それがやりすぎてしまった理由だ。
あまりにも
スマホで調べて、曲を聴いて、時間なんて忘れて考察して…
なんてしているうちに、
遊びすぎだ、勉強をしろ
ということで、
一定期間 "好き" から離されることになってしまった、、、
彼のことをもっと好きになりたいのになぁ…
頭の中では鳴り止まない音楽
いつの間にか口ずさんでいる歌詞
忘れてしまいたくても忘れられない。
好きになってしまったら、きりが無い。
勉強にも手がつけられなくなり、
ベッドにダイブする。
まだそのバンドを知ってすぐだというのに
私の頭の中は、彼らだけになってしまっている。
気付けば眠っていた。
朝。
まだ肌寒くて、布団から出たくないような
涼しく、白い朝。
カーテンの隙間から入ってくる光に目を細めながら、
時間の確認をする。
9:00
……今日って土曜日だっけ?
まだ木曜日だっけ…?
働かない頭でゆっくりと考えていると
隣に人が居ることに気づく。
まだ眠っているその人は、例の彼で。
穏やかなその寝顔に思わず近づいてしまう。
触れようとしたところで彼は目を覚ました。
「…どうしたの…?」
ぼんやりとした声で、
寝ぼけたまま見つめてくるその顔は、どうも幼く見えて。
知らないはずなのに知っていて、
不思議と驚きはなくて、
いつもと同じように
私は彼に言う。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。