第5話

ファンタジーがリアルに
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2018/05/03 08:08
息を止める。まぶたを閉じる。
燃えさかる火の中を入った私たち。

─熱い。

そう思った瞬間、“熱い”という言葉は消え、青年の声が耳元で聞こえる。

「ゆっくり吸って…」

我慢していた呼吸をする。
でもまだ目は開けられない。

─ブワッ…!!

強い風が顔に吹きかかる。
冷たくも無く、温かくも無い優しい風。
でも、勢いある風。

「目を開けてみな、チコ。」

恐る恐る目を開くと、そこには男の子が一人、草原の上に立っていた。

「やあっ!」

男の子は私に言っているのだろうか。
見渡す限り、私と青年以外、誰もいない。

「いきなりじゃ、チコも困るだろ。」

青年は男の子に軽い口調で話している。

「…えっと、だれですか?」

男の子は私に近づき、私の額に手を当てた。

「熱は無いな…」

「…や、やめてください!!」

咄嗟に手を払いのけ、後ろに3歩ほど下がる。
男の子は目を丸くして心配してそうにこちらを見ている。

「…おれ、千恋と柳吟といっしょに来たよね??」

「えっ…




















──なんで名前を知っているの…?」

青年は私のことをチコと呼ぶ。
だから、“せんれん”とは呼ばない。
私も青年のことを“りゅうぎん”なんて呼んだことが無い。

彼はなぜ知っているのか。

「あ、そっか。今は人間なのか。
悪い悪い!おれは初暖!じいさんの飼い猫さ。」

「…初暖…!?」

「おう?」

初暖って…
















─女の子じゃ無かったの!?

「なんで、男の子!?」

私は再び後ずさりをする。
青年は笑いをこらえているようだが、私には今の状況に何の面白みも感じていない。

「なんでって…じいさんが間違えたからだよ。」

「フッ、ハハハッ!チコ、面白過ぎ(笑)」

青年は涙を浮かべるほどお腹を抱えて笑っている。
レディーに対して失礼ではないか。というほどだ。

「そんなに笑わなくてもいいじゃない…」

「ごめん、ごめん(笑)」

まあ、今はそんなことどうでも良い。
まず気になることが山ほどあり、どれから質問したら良いのかわからない。
だがまず、この質問だろう。

「…で、ここはどこなのかしら?」

青年はこくりと頷き、初暖と目を合わせた。

「ここは、“猫成界(びょうじょうかい)”
猫が生きる世界だ。」

私の脳は動きを強制的に停止した。
彼はなにを言っているのか?
またも訳が分からなくなってしまった。










猫が生きる世界?























メルヘンチックすぎるわよ!!(怒)

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