🐿『……ヌナ。お風呂空いたよ』
「……あ。ありがとうテヒョン」
家に帰って、私はベッドの上で座り込んでいました。
🐿『……どうしたの?
そんなに今回のテスト、難しかった?』
「う、ううん。そういう訳じゃないんだけど……」
テヒョンがそっと私の隣に座ります。
🐿『……もしかして、またあの人になにか?』
う。
やはり私の弟は、賢くて勘が鋭い……
何も言えなくなった私を見て、
大きなため息を着くテヒョン。
🐿『……また?この間も無視してって言ったのに
結局言い負かされて……』
「あ、うぅん、なにかされた訳じゃなくて……」
🐿『え?』
「わ、私ね、…………」
「あの人のことが、好きみたい、なの、」
そう、俯きながら言いました。
テヒョンなら、わかってくれるよね、?
いつも私の話を聞いてくれていたし、
私のことを気にかけてくれていたから。
いつも私のことを、根暗だとか真面目だとか
痛いところをつついてきたから。
きっと、姉に好きな人ができるようになったら
テヒョンもいくらか気が楽でしょう。
何秒か沈黙が流れました。
「…………テヒョン…?」
そっと顔を上げて、テヒョンを見ると、
🐿『……ヌナ、変な冗談やめてよ』
と、ものすごく真剣な顔で、
私の肩をがしっと掴んできたのです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。