第3話

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2019/06/14 08:03
その日、いつも通り、森はとっても平和だった。
ストラ
ストラ
よーし、今日は森をたんけんしてみようかなー!
キツネ
楽しそうね。私も行っていい?ストラ。
ストラ
ストラ
いいよ!
ストラ
ストラ
では、キツネたいいんを副たいちょーに任命します!
キツネ
分かったわ、ストラ隊長。
ストラ
ストラ
じゃあ、出発進行ー!
えへへ、わたしがたいちょーなんだよ。なんかうれしいな〜!
サクサクサクサク、森の落ち葉を踏んでわたしとキツネさんはあるいていく。
しばらく歩いていたら、
ガサガサガサッ
ストラ
ストラ
なに?
近くの茂みに、だれかいるみたい。
ストラ
ストラ
だあれ?
タヌキ
あーあ、見つかっちゃった。
わたしが声をかけると、顔を出したのは、
ストラ
ストラ
あなたは?
タヌキ
ぼくはタヌキ。君はストラだよね?
ストラ
ストラ
そうよ。あなたも、わたしの友達ね!
タヌキ
うん、そうだよ!
やったぁ!お友達、また増えた!
タヌキさんとキツネさんといろいろ話していたら、
ハト
タヌキ〜!ただいまぁ。
空から、ハトさんが飛んできた。
タヌキ
おお、おかえり。
ちょうど、ストラが来てるんだよ。
ハト
ほんとだ。
ハト
そうだ!ストラに、ずっと伝えたいことがあったんだ。
ストラ
ストラ
なに?
ハト
――外の世界の事。
この森の外にあるものをストラに知らせてあげたいと思って。
ストラ
ストラ
『森の外』?
キツネ
ちょっとハト…それはだめでしょう。
まだストラの心の準備が出来ていないだろうし…
ハト
…でもいつかは知らなきゃいけない事だ。
ストラ
ストラ
ねえ2人とも、なに話してるの?
ストラ
ストラ
わたしにもおしえてよ〜!
もう、キツネさんとハトさんったら、わたしに内緒でお話してるなんてずるい!
ストラ
ストラ
お友達なんだから、おしえて!ね!
キツネ
そう…ね。
キツネ
―ストラ、今からちょっと真面目な話をするわ。
キツネ
だから、ハトのいうことをよく聴いて?
ストラ
ストラ
真面目な話…?
ストラ
ストラ
いいよー!
真面目な話って何だろう?
なんか、キツネさんちょっと暗い顔してる?タヌキさんもどしたんだろう。
俯いてるっていうか…
ハト
ストラ。よく聴くんだよ。
ストラ
ストラ
うん!なあに?
ハト
――ストラは、自分が普通の人と違うって、知ってるか?
ストラ
ストラ
…わたし、ふつうの人とちがうの?
ストラ
ストラ
どんな所がちがうの?
少し前に、ポプラの木さんが、森の外には人間っていうものがいるって言ってた気がする。その人たちが、『普通』なのかな?
ハト
…普通の人は、僕たち鳥やタヌキやキツネさんの声は分からないんだ。
それと、大きな見た目の違いがある。
ハト
背中に翼がはえているのは、ストラ、君だけなんだよ。
ストラ
ストラ
わたしだけ?他の人はあなたたちの言葉が分からないの?
ストラ
ストラ
翼もないの?
ストラ
ストラ
じゃあ、わたしは何なの?どうしてちがうの?
ハト
君は、外の世界では、『異人種』って呼ばれてる。
ハト
そして、その異人種は、もう2人しかいない…ようだ。
ストラ
ストラ
その人は、どこにいるの?
ハト
分からない。君は、きっとその人を探さないといけないんだ。
ハト
……このだだっ広い世界で…
木の葉が揺れて、鳥さんたちが巣に逃げ帰る。
その時、もう1羽のハトさんが来た。

そして、こうみんなに言った。
ハト2
――人間が、森に入ってきた。
ハト2
木をどんどん切り倒して、こっちに向かってる。
ハト2
きっと、ストラを捕まえに来たんだ!
キツネ
…!どうして…!
タヌキ
大変なことになったぞ…
キツネ
――ストラ、ここから急いで逃げましょう!
キツネ
早くしないと…
ストラ
ストラ
えっ?どうしたのみんな、何があったの?
ストラ
ストラ
…どうして…?
いつもと違う、騒がしい風が吹いていた。

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