ねぇアルト、どうしてあなたたちはこの森に入って来たの?
「わたしを捕まえに来た」ってハトさんたちが言ってた気がするけど…。
…実は、俺は他の人間たちとは別口なんだ。
べつくち?どういう意味?
俺と、他の人間たちでは目的が違うって事だ。
他の人間たちの目的は、…ストラ、君を捕まえるためだ。
やっぱり、わたしのせいなんだ…。
わたしがここにいたから、森のみんなは大変なことになってるのかな。
でも、
――君のせいじゃ、ないよ。
そう呟いたアルトの声が、いつもよりちょっと低かったのは、なんでなんだろう?
でも、なんのために?
なんで人間たちはわたしを捕まえようとしてるの?
わたし、悪いことなんてしてないよ?
――ストラは、自分が異人種だって、知ってるか?
『異人種』――どこかできいた気がする。
…そうだ!ハトさんたちが言ってた。
他の人たちは、背中に翼がなくて、動物のみんなの言ってることが分からないって。
あぁ。ストラが特別だから、人間たちはストラを探してるんだ。
この世界は、人とどこか違うと、見下げられたり疎まれたりしてしまう。
アルトの言ってることが合ってるんだったら、森の外の世界の人たちはみんなおなじ顔で、おなじ声で、おなじ性格だってこと?
そうじゃなくちゃ、見下げられちゃう――
――そんなのおかしいよ!
……。
みんなおなじでなきゃだめなんて、おかしい!
この森のみんなは、みんなちがう。
ポプラの木さんはすごく優しくて、タヌキさんはいたずら好きで、リスさんは恥ずかしがり屋さんなの。
ストラ…。
わたしは、そんないろいろなみんなが大好き。
同じでなきゃだめな世界なんて、おかしい。
みんな違うから、だからこんなに楽しいんだ。
…そう、だよな。
俺も、そう思うよ。
違うものを糾弾するより、認めあって生きていた方が居心地がいい。
この世界は間違えている。
そう!よかった、アルトもそう思ってたんだ…!
やっぱり、お友達だね!
あぁ、そうだな。
アルトも顔を見合わせて笑ってた。
えーっと、じゃあ、アルトはなんでここに来たの?
ほかの人たちのことは聞いたけど、アルトのこと聞いてなかった。
俺は…
そうだな…
――俺も、ストラを見つけるため、かな。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!