すぐに靴を脱ぎたかった。
そのまま玄関に崩れ落ちる。
痛い。
足も心も。
リビングにスーツケースを広げ
着替えを持って
お風呂場に行く。
キレイな家。
お風呂場で一人。
嫌だ。
一人になると考えてしまう
早く出よう
キリキリと
足に痛みが入っていることさえも
忘れて
身体を洗った。
机の上に出された紅茶は
ふんわりと桃の香りがした。
カップを持ち
口に運ぶ。
おいしい。
優しい
心配してくれる
そんなスニョンは
私のことが好き。
うちの卵焼きは
甘い。
砂糖を入れて
外側はこんがり焼くの。
キッチンに向かい
卵をボールに割って
砂糖を入れ
かき混ぜる。
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記憶がよみがえる。
そんな時もあったなぁ、、。
少しこんがりと焼き色の着いた
卵焼きをまな板の上にのせ
端っこを少し切り落として
彼の口に運ぶ
そう言って
また卵焼きをつまむ。
お肉たっぷりの
野菜炒め。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。