第43話

うどん
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2021/03/28 11:00
あなたside










藍くんは目を覚ましても、まだ少しは入院したままらしい。

それでも、見る限り元気な藍くんは私に甘えてくる。それが可愛くて、笑





伊吹「あなたー喉乾いたーー」

『はーい』




ストローのついた水を持って行ってあげる


伊吹「ありがと〜、お礼に藍ちゃんがちゅーしてあげる!」

『それ藍くんがしたいだけじゃん?笑』

伊吹「そんなことないよ??」





藍くんから水を受け取り、顔を近づけてキスをする




伊吹「今なら走れる」

『だめです』

伊吹「ちぇー」







そんな藍くんとの日々が続き、やっと退院の日。




2人でゆっくり歩きながら家に帰る。



伊吹「久しぶりにあなたの料理食べたいな〜?」

『何食べる?』

伊吹「…うどん、」

『ふふ、やっぱりうどん?』

伊吹「うん、なんかわかんないけど、食べたくなった笑」








家に着いて、たまたまあったうどんを茹でる



同時にもうひとつのコンロで御汁も作った。




うどんが完成したところで、後ろから藍くんが抱きしめてきた



『ん〜?運ぶから1回避けて?』

伊吹「いやー離れたくないー」

『ふふ、甘えん坊だね』

伊吹「あなたにいっぱい迷惑かけちゃったからさ、」

『…そんなことないよ?』






少し、声が震えてしまった。

藍くんの前では、弱ったところは見せたくなかった。

俺のせいで、って自分を責めてしまいそうだから。





でも、そんなの藍くんの前じゃ無理だった。





視界がぼやけて、頬を涙が伝う。




藍くんは私を正面から抱きしめて、背中をさすってくれた






伊吹「寂しい思いさせてごめんね?」

『ううんっ、大丈夫だよ、っ』

伊吹「これからはもう、絶対に寂しい思いさせないから。」

『ありがと、』






藍くんはいつも、私のことを優先して考えてくれる。





『寂しかったのは本音だけど、でも藍くんは人助けしたんだよね、』

伊吹「そうだね、」

『だから、私は藍くんを誇りに思うよ』

伊吹「…ありがと、」






少し驚いて、でも嬉しそうにはにかんだ藍くんもうっすら涙を浮かべていた。





『うどん、冷めちゃうから食べよ?』

伊吹「うん!」






久しぶりに二人で食べたうどんは、今までの中で1番美味しかった

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