あなたside
伊吹くんと2人で、家に帰る
『ねーねー伊吹くん』
伊吹「んー?」
『伊吹くんの下の名前、なんだっけ』
伊吹「え、覚えてない?
あい、だよ?伊吹藍」
『あい?』
伊吹「うんうん
そっか、今まで名字でしか読んだことないからね」
『そう、だね』
伊吹くんはそう思っている
でも、私はただ思い出せないだけ。
伊吹「あっ、そーだ!」
『んー?』
伊吹「これから藍って呼ばない?」
『あい、くん?』
伊吹「あぁー、やばいかも、」
真っ赤になった顔を大きな手で覆う。
『ん?』
伊吹「いや、ちょっと、あの、」
『んー?』
不思議に思って顔を覗き込むと、だから!と声を大きくする
伊吹「かっ、可愛すぎる、っ//」
『えっ、//』
伊吹「やばぁ、これから心臓持つかなぁ、」
『あーいくん!』
伊吹「うっ、、」
『へへ、かわいー』
伊吹「もぉからかわないで!」
『はいはい』
差し出された手を握り、2人で歩く帰り道
その瞬間だけは、悩みなんて忘れていた
藍くんの、おかげで。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。