それが智翔との出会いだった。
そう。彼女はあなたと同じヘアメイクだったんだ。
それからというもの俺はあなたと出会った時と同じく、
自分から告白したところ、意外と向こうも
同じ気持ちだったらしく、付き合うようになった。
でも、俺は後に後悔することになる。
俺達が付き合い始めて2年ほど経ったとき。
彼女は頻繁に出かけるようになった。
その時はまだ、色々あいつも大変なのかな?
くらいにしか思っていなかった。
しかし、その行為が1年ほど続き、
とうとう俺達が会うのは
仕事現場くらいしか無くなった。
俺が帰っても彼女はいない。
時には朝まで居ないことだってあった。
あ、ちなみに彼女とも同棲してたから。
だから、さすがの俺も不思議に思い、
貴重な休みの日に彼女の後をつけてみた。
すると案の定、
彼女は見知らぬマンションの中に入っていった。
そして、数十分後。
何故かどこかで見たことのあるような人物と
一緒に出てきた。
誰だろう。
しかし、よく観察すると、その人物はすぐにわかった。
小動爽太だった。
何故あいつと一緒に出てきたのか。
理由は漠然としていた。
彼女が浮気をしているからだ。
いつから?
きっと頻繁に出かけるようになった
1年前くらいからだろう。
会わなくなってからは
さほどそのことも気にしなくなっていた。
もうその時から俺の彼女への愛も
冷めきっていたのだろう。
でも、その時だけは黙っていられず、
気づいたらその背中を追いかけていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。