第2話

2.(詩人side)
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2022/05/30 00:44







「・・・え・・なんで・・」



一瞬、なにかの悪い冗談かと思ったが、普段の性格から考えて、それはない。と思った。




確かに、さっき名前を呼んだ時も、まるで自分でない ような、表情を浮かべていた・・。


じゃあ、本当に何も覚えていないのだろうか。

ライブ中に倒れたことも。

自分が「アンダーバー」であることも。


俺が・・・・・






「詩人」であることも。









そう考えると、戸惑いと同時に、胸を押さえつけられるような苦しさが襲ってきた。

どうして?!

どうして?!

なんで・・・・・



忘れたの・・・・?



・・・・・・・・・少し前にこんな話を聞いたことがある。


車に惹かれた高校生が、頭を打った衝撃で




記憶を失った話を。




まさかそれではないだろうか、

たとえ、2階から落ちたとしても打ち所が悪ければ、記憶喪失になりかねない。




ましてや、ステージから落下した観客席までは十分すぎるほどの高低差があった。


もしかして。と思う気持ちと、

そうならないでくれ。という気持ちに苛まれ、



「・・・・・また・・・・来ますね 」


とだけアンさんに言い残し、

超学生さんの、待ってください!という言葉も振り払って、逃げるようにその場を去った。



去る時に、アンさんがなにか言っていた気がするが、きっと、耳を傾けてしまえばその場で

泣いてしまうことになる気がしたから、振り向けなかった。

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