________はぁ。サボっちゃった。
現在時刻午前9時。場所は最寄り駅のベンチ。
一人佇んでいる。
先生、怒るかな。。。
怒るよな。
きっと、お母さんもお父さんも怒る。
そこでふと、思いついた。
「・・・海、行ってみよう。」
特に意味は無かった。
今はただ、現実から目を逸らしたい。
そして私はベンチから立ち上がり、一度家に帰った。
家は静まり返っている。
お母さんもお父さんもお仕事で出掛けている。
高校の制服を脱いで、動きやすいパーカーに着替える。
持ち物は最低限。携帯と財布。
それだけパーカーの前ポケットに詰めた。
「あ、携帯電源切っておこ。」
折角の一人旅なんだ。邪魔はされたくない。
そう考えて、手際よく携帯の電源を落とす。
最寄り駅の駅員さんは顔見知りだから会うと不味い。
少し遠いけれど、隣の駅まで行こう。
外に出ると、
夏の生暖かい空気に乗った草木の香りが鼻をかすめた。
私はその空気を肺一杯に吸い込んで、吐き出した。
直射日光が照らすコンクリートの道を、私は歩く。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。