ひとしきり遊んでショッピングモールを出ると、もう日が傾き始めていた。
時計を見ると、ちょうど17:00になったところだった。
他に行くところも無いし、帰ることに。
義母に連絡を入れる瑠衣くん。
律儀だなぁ。
ささっと連絡をして、スマホをしまう瑠衣くん。
改札を通り、ちょうど来た電車に乗った。
しかも電車は空いていて、二人で座ることができた。
ガタンゴトン。規則正しい揺れに、眠気を誘われる。
眠いけど……今ここで寝たって30分しか寝れないし。
けど眠い………………。
だめだ………瑠衣くんには悪いけど寝させてもらお、
**瑠衣くんside**
今日のお出かけ、あなたちゃんは楽しんでくれたかな。
きっとあなたちゃんのご両親は、愛の伝え方が分からなかったんだろうな。
いつもお仕事ばかりの人たちだったみたいだし。
けどあなたちゃんのことを嫌いだったはずない。
ご両親は、愛の伝え方を知らなかっただけなんだろう。
共に食事を取ることや、
ただただいっしょにぼーっとすることや、
おしゃべりをしながらのんびりテレビを見たりすること。
そんな、当たり前のことが分からなかっただけで。
きっと、あなたちゃんのことは大切に思ってたはずなんだ。
けど寂しいと思っているなら、
僕がたくさんの愛を、
精一杯の優しさを、
僕の隣を、
最愛の君に捧げます。
だからあなたちゃん、
これからもずっと、僕の隣に居てください。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!