第14話

嫉妬の権利(黄side)
811
2020/05/25 07:49
1日の授業を終え、帰宅しようとしたとき。
???
あの……木村くん
女子生徒に声をかけられた。

好かれることはとても嬉しいのだが、毎日誰かに告白されるのはさすがにしんどい。
はい、なんでしょうか(棒)
???
あの……この後、大丈夫ですか?
手短にお願いします
せっかくあなたちゃんと交換条件とはいえ仲良くできたんだから。

早く帰りたいのだ。
???
あ、じゃあ……ちょっとついて来て下さい
はい
女子生徒に連れてこられたのは、別棟の階段。

人気がないから、告白などで有名らしい。

……なんで入学2日目でこんなこと知らなきゃいけないんだろうか。
???
あの!優しい木村くんが大好きです!付き合って下さい!
無理です、ごめんなさいニコッ
彼女の名も知らないのに。

そして入学2日目なのに。

ほぼほぼ一目惚れのようなものだ。

それで告白するとか、信用ならない。
???
……じゃ、じゃあ!お試しで良いかr
僕彼女いるんです、諦めて下さい
今日のは少しばかり厄介みたいだ。
それじゃ、約束があるので失礼します
この後つけてくるのは何となく分かってた、けど。

家まで行けば、あなたちゃんがいるはず。

そしたらすぐ終わることだ。

あなたちゃん、頼むから早く帰ってきて……。
赤坂悠莉
るーちゃーん?
駅への道を急いでいると、後ろから悠莉が追いかけてきていた。
あっ悠莉……ごめん……
急いで帰ることしか考えていなかったから、悠莉のことをすっかり忘れていた。
赤坂悠莉
大丈夫大丈夫。後ろつけられてるでしょ
うん
赤坂悠莉
よーし帰ろー?今日もあなたちゃんとデートでしょ?
悠莉………。

そうやって臨機応変に合わせてくれる悠莉の即興力には驚かされる。
うん!今日も楽しみだな~
赤坂悠莉
今日は家来るの?
うん!ゲームするんだ~
赤坂悠莉
はぁぁぁぁぁ……リア充爆発しろー!
きゃー悠莉こわーい(棒)
赤坂悠莉
棒読み草
wwww
やっぱり、つけてきてる……。

悠莉と話しながら、後ろをチラチラと気にしていたが。

さっきの女子生徒が、つけてきていた。

あえて気づかぬフリをして、悠莉と話し続ける。

すると駅についた。
トイレ行こー?
赤坂悠莉
あーいいよ
駅の改札に入ったところで、駅のトイレに誘った。
赤坂悠莉
……ついてきてる?
うん
もちろん作戦会議のため。
赤坂悠莉
どうやって撃退するの?
……駅に着いたときに、多分話しかけられるから。そのときに、あなたちゃんが通るのを待つ。
赤坂悠莉
あーね?じゃあ俺離れて見てるわ、
うん、よろしく
赤坂悠莉
おけ!
**女子生徒は電車でもついて来ていて、僕らが降りる駅で降りた。**
赤坂悠莉
来てる?
うん
改札を出たところで。
???
………ねぇ
(きた!)
何ですか……って、さっきの
???
あ、覚えててくれたのー?嬉しいなぁ
若干メンヘラ気質な人だ。

これは……厄介かも。
何しに来たんですか?つけてきて気持ち悪いですよ
???
えーひどぉい!さっき付き合おうってなったじゃあん
だから!僕にはもう彼女がいるんです!
???
えーじゃあ別れてよ
は?無理です
???
えーなんでぇ?私の方が絶対瑠衣くんのこと幸せに出来るのにぃ
名前呼び気持ち悪いし僕は今の彼女が大好きなので
???
じゃあ私がその子のこと忘れさせてあげる♡
気持ち悪いです止めて下さい
赤坂悠莉
るーちゃん!
言い争う僕らに、悠莉の声が割って入った。

悠莉の方を見ると、学校帰りのあなたちゃんがいた。
あなたちゃん!
???
その女誰?
え?僕の彼女ですギュッ
言いながら、さりげなくバックハグした。

少し照れてるあなたちゃん。

ニセのカレカノだけど、いちおう僕のモノになっているのが嬉しい。
???
…………チッ
はーい今この女舌打ちしましたー

絶対黒ですこの女ー
あなたちゃん
瑠衣く~ん
少し甘えた声を出すあなたちゃん。

演技が上手すぎて笑っちゃいそうです((
なぁに?
せっかく“よもぎくん”が本気で演じてるんですからね。

僕も全力で応えますよ~!
あなたちゃん
早く帰ろ~?
あぁそーだね!じゃあこれで、
赤坂悠莉
また明日ね~
???
………………許さない((ボソッ
はーい僕今聞こえました~

この女絶対黒でーす

悠莉の言ってた女子の闇ってこのこと、なのかな。

怖いな………。

ま、とりあえず帰りますか。
赤坂悠莉
てかあなたちゃん演技上手くない?
それ思った~
赤坂悠莉
~~~~~~~
あなたちゃん
~~~~~~~
ってか、さっきから悠莉とあなたちゃん話しすぎです。

妬きますよ、?

あ、気づいたら悠莉ん家と僕ん家の分かれ道まで来ましたね。
じゃあここで
赤坂悠莉
あ、うん!また明日ね~
あなたちゃん
さようなら
またね~
**悠莉帰宅**
とりあえず、今日のお礼は言わないと。
今日はありがとう
あなたちゃん
あ、いや……悠莉さんに捕まっただけだから
悠莉、?

他の男の名前を聞くと、なんだかモヤモヤする。

気づいたら僕は、あなたちゃんを抱きしめていた。

あなたちゃんからしたら、僕はただの義理の兄で、ニセのカレカノ……なのは、分かってるけど。

僕と二人の時に、他の男の名前を呼ばないでほしい。

僕のことを「お兄ちゃん」って呼ばないで欲しい。

束縛しすぎは嫌われるの分かってるけど。

…………あなたちゃんには、僕冷静でいられないみたいだ。
あなたちゃん
お兄ちゃ
お兄ちゃんって、呼ばないで……
あなたちゃん
…………………
あと、僕と二人の時に、他の男の名前呼ばないで……
あなたちゃん
えっ、?
ごめんね……けど僕、嫉妬しちゃうから……。

お願いだから、他の男のモノにならないで……。
ねぇ、今度、隣町のショッピングモール行かない?

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