私は、元芸能人だ。
しかも、男の子の。
女優だった母が、面白がって男装させて撮影に連れてったのが始まりだった。
そこの監督さんに声をかけられ、撮影に参加することになった。
そのドラマでデビューし、小学校に入ってからは人気アイドルユニット「Music Boys」のリーダーとして活動してきた。
人気になればなるほど、母は喜んでくれて。
男装するのには抵抗があったけれど、その頃笑うことが少なかった母が笑ってくれることが嬉しくて、芸能界で活動を続けた。
Music Boysでの活動も、あまり好きでは無かったけれど。
ほかのメンバー達は、どんどんテレビなどに出るようになったけれど、私はグループでの出演以外はほとんどお仕事が無かった。
苦痛ではあったが、歌番組でセンターに立って踊る“僕”を見て嬉しそうな母を見たら頑張るしかなかった。
けれど。
小学5年生のとき、両親が旅行先で事故に逢い他界した。
それから暫くはマネージャーが面倒を見てくれたりしたが、母がいなくなった私に芸能界で活動する意味がない。
かれこれ3年ほどずるずると続けてしまったが、歌番組でもお休みが増えてしまったりとお仕事に集中できない日々が続いたので、
私は芸能界を辞めた。
元々男装アイドルだったので、辞めてから騒がれたりすることも無い。
私は一般人に戻り、普通のJKライフを送っている………一応。
***
芸能界を辞めたため、マネージャーさんの家にも長居はできなくなった。
マネージャーさんは大丈夫と言ってくれていたが、自分で孤児院などを調べて入所できそうなところを探した。
そしたらマネージャーさんが母経由で親戚に連絡してくれたらしい、はとこの家に引き取られることになった。
***
続きます
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。