第6話

別れの言葉 歌
334
2018/03/03 01:31
涙が収まった。
卒業は変えられない。
だから、精一杯卒業式をやる。
野沢菜月
4月からは、中学生になります。
朝倉拓真
ここでの思い出は、絶対に忘れません。
野沢菜月
そして今までのように、困難に負けずに強く歩んでいきます。
あなた

共に喜びや悲しみを分かち合った仲間を信じて、

卒業生全員
羽ばたきます。
目が真っ赤に腫れた指揮者が前に出る。
さっき一緒に泣いた、同じクラスになったことない子。
そして聞き慣れた「旅立ちの日に」の前奏が流れ出した。
練習の時みたいに、脳裏に替え歌が流れ出す。
『白いご飯の上に』
『唐揚げをのせて』
『わずかな量のオカズでも』
『デブは食いだす』…
練習の時は、みんなで笑いをこらえながら歌った。
たまに吹き出す子がいて、怒られたっけ。
卒業生全員
白い光の中に山並みは燃えて
卒業生全員
はるかな空の果てまでも
卒業生全員
君は飛び立つ。
だけどどうしだろう。
みんな必死で心を込めて歌う。
歌がひとつになって響く。
あなたも真剣だった。
最後だから?
理由はともあれ、気持ちが良かった。
微笑みが浮かぶ。
卒業生全員
今、別れの時
卒業生全員
飛び立とう
卒業生全員
未来信じて
卒業生全員
弾む
卒業生全員
若い
卒業生全員
力信じて
卒業生全員
この広い
あなた

この広い

鈴木優香
この広い
卒業生全員
この広い




一瞬雨が止んだ。













卒業生全員
大空に。

プリ小説オーディオドラマ