第5話

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2021/07/27 08:39





2021年 8月29日





10年前のこの日





彼に会う予定だった





幸せなことしかないはずだった





(なまえ)
あなた
NonStopRabbit…
(なまえ)
あなた
めちゃ伸びてきてるね…





私が会いたくて堪らない人





彼は NonStopRabbit というバンドで





去年の12月9日にメジャーデビューを果たしていた





画面の中で楽しそうに笑う彼は





あの時とちっとも変わっていなくて





いや、変わっている





彼は前に進んでいる





きっと私との約束なんて…





変わっていないのは私だ





(なまえ)
あなた
もう行かなきゃ!!






そんなことを考えながら





1人で暮らすには大きすぎる部屋を出た


















































電車に間に合わない





そう思って走り出そうとした時










バンッッッ










誰かとぶつかって尻もちを着いてしまった





(なまえ)
あなた
あ、電車…
???
すみません!前見てなくて…
???
大丈夫ですか?





ぶつかった人が怖い人じゃなさそうでよかった





と、安心すると同時に





どこかで聞いたことのあるような声に懐かしさを覚えた





手を差し伸べてきた人の顔を見ると





それは間違いなく





(なまえ)
あなた
晴人くん?
晴人
晴人
え?
(なまえ)
あなた
そうだよね?晴人くんだよね?
(なまえ)
あなた
覚えてないかな?
晴人
晴人
すみません…
晴人
晴人
ファンの方ですか?
(なまえ)
あなた
あなただよ!!10年前に私のこと助けてくれたよね?そのおかげで私っ!!





熱く語る私を見て





困っている彼





そうだよね、覚えてるわけないよね





たくさんのファンがついて





10年前に会った私のことなんて…




































































































晴人
晴人
ごめんなさい…
晴人
晴人
ケガなさそうですか?
???
はい…
???
こちらこそすみません!
???
じゃあ!





あなたと名乗る女の人は





少し悲しそうな顔をして





走り去って行った





晴人
晴人
 あなた、かあ…





そんな知り合いいたっけな?





しかも10年前に助けてくれたって





なんの話だろう





これも一応メモしとくか…





俺は10年前たった今でも病院に通っている





小さなことでもいいからメモしておくように





お医者さんから言われた通り





晴人
晴人
いった…





こんな風に頭が痛くなるときも





でも頭が痛くなる時は全然ない





人と話して頭が痛くなったのははじめてだし





なんか変だな…





晴人
晴人
うわ、時間やば…





1人取り残された電車のホームで





ボーッと突っ立ってる変な人





そんなふうに思われるのはいやだ





とりあえず走らないと間に合わなさそうだし





走るか…




















































走っている時に見えたひまわりがどうも懐かしくて





晴人
晴人
いった…





まただ





ひまわりとバスケのネットを見ると





異常に頭が痛くなる





そんな頭を押さえつけながら





受付に向かった





晴人
晴人
予約してた矢野です
先生
あ!晴人くん!
晴人
晴人
あ!こんにちは!
晴人
晴人
随分熱くなりましたね…
先生
だね…その後どう?





受付の人があたふたしているのをお構い無しに





話を続けるお医者さん





まあフレンドリーな人でいいけど…





10年前からずっと同じ先生に診てもらっていて





この人は俺のいろんなことを知っている





記憶が無くなった部分までも





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