第20話

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2019/09/17 15:04












『あ、社長〜こないだ言いよった幕張の精算
送りよったけん見よって〜』





夜ご飯を食べ、ふと思い出し社長に声をかける。
事務所にはりゅーと社長がいる。





社 「おっ、全部OKや」


ま 「最近、あなた 仕事しすぎやなか?」


社 「確かに、男と遊んできたらええんにw」


ま 「こんなクソ集団に使う時間が勿体ないとよw」




笑われるのには慣れてるはずやった。
やけど、今日はいつもと違ってイライラ。
確かに、こんなクソ集団の為に最近はセフレとも
連絡切ったし友達とも遊びに行ってない。
そうするよりもみんなを思って仕事する方が楽しいから。

恋愛感情とか知らないけど
取り敢えずみんなが大切やし好きやから。





みんなの為に頑張ろうって、そう思って頑張って
幕張だって勿論みんなも社長も頑張ってたけど
友達に最近付き合い悪いとか言われても
みんなの笑顔が見たいって頑張ってた。


努力を認めろ!とは言わないけど褒めて欲しい。
そんな承認欲求がここ最近増えてきた。
そんな中メンバーから何気なく発せられたこの言葉。
本当に怒り狂いそうで逃げるように部屋に戻った。





こんな時に愛を感じたくなるのは私だけだろうか。
親からの愛を受け取れなかった私だからなのか。
メンバーに会いたくない。ただその一心で事務所を出た。
Tシャツに短パンの部屋着のまま飛び出して来ていて、
ポケットにはスマホと500円だけ入っていた。


近くの公園のブランコに座ってゆらゆら揺れる。







空模様は私の気持ちを表すように厚い雲が覆ってきている。









『、、楽しくない』







急に先が見えなくなった。最近は本当に仕事が楽しかった。
みんなの為にって頑張り続けた。何がダメだったんだろうか。
本当にクソ集団に時間を費やしただけだったのかな。
色んなことを考える程視界はぼやけていく。











『もしもし』
『今から空いてる?』







気づけば3ヵ月ぶりにセフレに電話をしてた。
もうすぐ時刻は21時。良い子はおねんねの時間。
私はネオン街に足を向けた。











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