キーンコーンカーンコーン♪キーンコーンカーンコーン♪
今日もまた、昼休みが始まる。
俺は騒がしいのが嫌いだ。昼休みの体育館など、そこに居るだけで疲れてくる。
出来れば教室でゆっくり独りでいたいんだ。
いたいんだが…
空気を読まず俺に話しかけたのは、俺の親友兼天敵の戸間恵太。
親友兼天敵とはおかしな表現だが、俺の考えに1番調和するのはこの表現だろう。
俺の嫌いなものを確実に突いてくる恵太を睨みつけると、恵太は、「あぅ…。」と言って引き下がった。
と、
教室の入口の方から、恵太を呼ぶ声。
そちらを見ると、クラスの見た事だけある女子が恵太を手招いていた。
恵太は、体育委員である。一華と呼ばれた女子もおそらく同じなのだろう。
そう言って一華はドアの向こうに消えた。その後を追い、恵太が走り去って行った。
誰もいなくなった教室。これこそ、俺が求めていたものだ。
愛しい静寂の中、俺は本の続きでも読もうと、机の中へ手を伸ばし――
ピコンッ!
スマホが、通知音を鳴らす。
―――1件の、メールが届いていた。
**********************
中学校なのにスマホ持ってきていいの?とかの質問はなし。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。