第3話

鬼の師匠、夜叉の弟子
1,621
2020/02/24 10:21
鬼蝶side
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
踏み込みが浅い!!そんな踏み込みでは、自分よりも大きな体躯の者と対峙しても、直ぐに吹き飛ばされますよ!!
皆さん、初めまして。尾崎鬼蝶と申します。
私は今、弟子の泉鏡花に刀の扱い方を教えています。
泉鏡花
泉鏡花
ッ……
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
……鏡花
泉鏡花
泉鏡花
……何?お師匠
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
私が何の為に、貴女に刀の扱い方を教えているか、判りますか?
泉鏡花
泉鏡花
そんなの……ポートマフィアで、私が人を殺せるように_____
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
違います
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
私が教えるのは、貴女に大切なものを護って欲しいからです
泉鏡花
泉鏡花
大切なもの……?
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
今は未だ、其れが何なのか判っていないでしょう。ですが孰れ、貴女が心から大切にしたいと思うものが見つかる。其れを護る為に、うしなわないようにと、私は貴女に教えているのです
泉鏡花
泉鏡花
お師匠……
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
鏡花。貴女は今迄、闇の花だと、そう云われて来たかもしれません。でも、其れは他人が決める事ではありません。貴女が闇に生きるか、光に生きるかは、貴女が決める事なのです
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
貴女の価値は、貴女が決めるのです。貴女は貴女のあるが儘に、自分の正義の為に、戦いなさい
泉鏡花
泉鏡花
……
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
今日は此処迄にしておきましょう
私はそう云って、振り返って歩き出しました_____。


鏡花side
泉鏡花
泉鏡花
私の価値は、私が決める……
そんな事を云ってくれたのは、お師匠が初めてだった。
今迄ずっと、私はただの道具……駒だった。
でも、お師匠は私を“ヒト”として見てくれた。
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
鏡花?行かないんですか?
お師匠が振り返った。
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
あ、そうだ。実は、最近鏡花が頑張っているので、お豆府を用意しているんです
泉鏡花
泉鏡花
……!
尾崎鬼蝶
尾崎鬼蝶
橘堂のおば様が、少し分けてくださって。冷や奴しかできませんけど、一緒に食べませんか?
泉鏡花
泉鏡花
食べる……!
この人が云った、大切なものが何かは判らない。
でも私は、この人が見せてくれたような、光をもっと、見てみたいと思った_____。

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