Noside
最後尾では、少年_____基、敦と鏡花の戦いが勃発していた。
敦はボロボロ。一方の鏡花には、傷一つついていない。
敦は、床に伏し乍鏡花を見た。
敦が、鏡花の許へ駆け出そうとした時だった。
鏡花が眼を見開き、敦の後ろを見たのだ。
敦が後ろを見ると、其処には藤紫の蝶が居た。
敦は、蝶が話したような気がした。
然し直ぐに前を向き、鏡花との距離を詰めた。
敦が鏡花の首に、異能で虎化した手を添える。
鏡花は着物をぐっと引っ張った。
現れたのは_____
爆弾だった。
敦の後ろに、何時の間にか鬼蝶が立っていた。
鏡花が僅かに身震いした。
敦に向けて、一緒に居た女性_____与謝野晶子が云う。
鏡花は無言で、敦に釦を渡した。
釦を受け取り、敦は其れを押した。
其の時、鏡花が持つ携帯電話から、声が聞こえた。
直後、けたたましい音が鳴り響いた。
鏡花はそう云うと、敦を突き飛ばした。
鏡花は次の瞬間、壊れた列車のドアから飛び降りた。
崩れ落ちた鬼蝶の隣から、敦が駆け出した。
疾走り続ける列車の中で、鬼蝶は放心状態だった。
ザパァと、何かが水に落ちる音がした。
窓から覗くも、見えたのは広がる波紋だった。
鬼蝶が淡く光を纏ったかと思うと、次の瞬間、藤紫の蝶が現れた。
其の蝶は、飛び降りた二人の許へ向かった_____。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。