駅のホームに着くと、ある人影を見つけました。
列車が到着し、私は鏡花に気づかれない場所で、成る可く近くの席に座りました。
鏡花は人混みに紛れ込むように座った為、私が座れたのは、連結部分を挟んだ、隣の列車でした。
ふと、私の眼の端に、白髪の少年と、蝶の髪飾りをした女性が映りました。
少年を見て、私には何故か、そんな確信が持てました。
そんな時でした。
突然、アナウンスが聞こえて来たのです。
其のアナウンスに、私は明らかな違和感を憶えました。
ドォン_____!!
女性はそう云うと、女性は列車の前、少年は列車の後ろへ向かいました。
其の時、私の前を鏡花が通り過ぎました。
逃げ惑う人々に紛れ、私は藤紫の蝶になりました。
そして其の儘、少年と鏡花が居るであろう、列車の最後尾へ向かいました_____。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!