道枝side

舞さんが帰った後、あなたからの手紙を読んだ。



駿佑へ

駿佑がこの手紙を読んでいるということは私はもうこの世にはいないんだね。

…なんて、 一回言ってみたかったんよ。笑


冗談はこれくらいにして…私は脳腫瘍ができててしかも悪性。病院行った頃には進行しててすぐに手術が必要な状態やった。黙っとって本当にごめんなさい。

急に芸能界も引退して訳分からんかったよね。

怒ってる姿も悲しんでる姿もどっちも想像できるけど、何も手につかんくなるのが怖くて

私が病気だって言ったら駿佑に限ってそんな事ないやろうけど仕事をそっちのけにしそうで、それも怖くてこういう決断をしました。


私の場合、手術しても5年間生きられる可能性は10%程度、余命は1年くらい。だから最後に、映画の撮影はやり切ろうって決めた。


縁があって駿佑とは沢山一緒にお仕事して、それが嬉しくてその中で学ぶこともいっぱいあって全部が宝物やった。

まさか応援してた人とこんなに関われるなんて思ってなかったけど笑


駿佑に出会えて本当に幸せやった。自分が思っとるよりずっと駿佑の存在が大きくてもうあなたに会えない事が何よりも辛い。

でも駿佑にはちゃんと前を向いて生きていってほしいから、私のことは忘れてね。


駿佑のこと、愛してた。
本音を言うと駿佑のお嫁さんになりたかったなぁ。

最後の最後にこんな事言う私を許してね。

この恋は私の最後の恋でした。


短い間やったけど今までありがとう、さようなら。


松下あなた