乱歩さんが何もわかっていなかった為、
私は今土下座している。
誰に?
遡ること数分前
乱歩さんの引いてだめなら押してみると言う意味の分からない冗談が私の地雷を踏み、
どこからともかく怒りがわいてきた。
しかし尊敬している人に怒りをぶつけられるわけもなく
私の周りは先輩しかいないため誰にもこの怒りを言う事が出来なかった。
そんな時
私の幼馴染こと
中原中也の存在を思い出したのだ。
彼は私が10歳の時に無くしたキーホルダーを探してくれた友達だ。
彼の職業はいくら聞いても教えてくれないが
連絡先は持っていて、何時でも相談に乗ると言ってくれる。
なので仕事を放り出して
荒れ狂うだろう国木田さんを無視して
彼に電話を掛けた。
中也は凝り性だな…
中也の発言など耳にせず神妙な声で言った。
流石だ。
長年一緒に生きてきた(?)だけあって
声色一つで状況把握が凄い。
「了解。ありがとう」
そういって私はと或るバーに向かった。
~
バーに着くと彼がカウンターに居た。
何も言わず差し出す「午後の死」
私達のお気に入りのお酒だ。
心配そうな優しそうな声。
きっと私からの相談で大事に成らなかった事が無いから不安なんだ。
そんな彼を差し置いて私は言った。
ちょっと前に人を巻き込まない作戦と言ったが
それは此処に来る間に落としたみたいだ_
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。