第4話

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2019/09/26 08:27
試合当日


つぼみ
「緊張する…」



心夏
『そう?』




つぼみ
「なんで心夏は緊張しないのー!」



※めっちゃ緊張してます
しないわけないじゃん、足ガクガクしそうなんだけど。でもさ、私たち先輩が緊張してる素振り見せたら後輩が不安になるでしょ



心夏
『あんたはもうちょっと自信持ったら?』


そう言って背中を叩いた




つぼみ
「だねー、でも声震える」




心夏
『まぁそれがつぼみだもんね』





心夏
『でも、キャプテンでしょ?』




つぼみ
「…だね!よし!みんなウォーミングアップ始めるよ!」


「「「「はい!」」」」
さすがつぼみ、と感心しながら私もウォーミングアップに入ることにした





「すみません!」
ウォーミングアップの途中でボールが違うコートへ行ってしまった


心夏
『私が取りに行くよ』



つぼみ
「よろしくー」



今は大丈夫な時だったから私が取りに行くことにした


そこでひとつの高校が目に入った。男子なんだけどね、雪城高校、去年優勝の強豪校だ


なんと丁度、雪城高校が練習しているあたりに飛んで言ってしまった



心夏
『行きにく…』


なんて呟くけれど、ボールは取りに行かなきゃ行けないしな



ボールを取ろうとした時だった




雪城高校の誰かが、スパイクを打っていた。高く飛ぶその人は、照明で眩しくて、目が開けれないほどに輝いていた



見とれていたんだろう。私はそのボールがこっちに向かっていることをすっかり忘れてしまっていた



そのボールは、早くて、とったら腕がもげるんじゃないかって思うほどに力強かった



「危ない!」



誰かがそう叫んだ。でも私の足は動かなかった










そんなボールは、今までに見た事のないぐらいの威力だったからうずうずして、リベロとしてそのボールを取りたくなった




私は構えていた




トン




いまさっきまで、あんなに威力のあったボールは軽やかに宙に舞っていた





私があげたのだ




思った通り腕はじんじんして、でも達成感があった



心夏
『すっごい威力…』





女子だったら味わうことの無い痛み、それが私には嬉しくて





そんなスパイクを打てる人を知りたくなった




「すっげぇ!あいつのスパイクとった!?」
「男子でもなかなかいねぇぞ!?」


私の周りには雪城高校の人達で囲まれていた


私の身長は164cm

雪城高校の人たちは普通に170は超えているだろう


そんな肉壁に挟まれながら、「名前は!?」「どこの高校!?」などと質問されていた




心夏
『す、すみません!自分のところ戻らなきゃ…』


と言って逃げるように戻っていった









でも、あんなスパイクに出逢えたのはすごい経験だったな…





「…」

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