第10話

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2019/10/01 07:45
あのたっくんが薔薇王子…
たっくん=薔薇王子…




心夏
『違和感しかない…』
と頭を抱えています。どうも安藤 心夏です。







まぁ信じたとはいえ、違和感しかないのは仕方ないでしょ、あの可愛いたっくんが美形になって戻ってくるとか





心夏
『考えたこともなかった…』





つぼみ
「何ひとりでボソボソ言ってんの」






心夏
『う…そんな声大きかった?』





つぼみ
「なんかブツブツ言ってるなーぐらい」





心夏
『まじかー』






私たち二人は雪城高校の試合を見に、観覧席までやってきた。今はアップをしている






つぼみ
「なんかさ、あの中に入りたいって思うんだよね」






心夏
『分かる。昨日まであそこにいたのにね』





私たちは顔を見合わせた








つぼみ
「でも、仕方ないね」






心夏
『どっか体育館とって、後輩を連れてきてからすればいいでしょ』






つぼみ
「だねー」



なんて行ってる間に、試合は始まっていた







心夏
『やっぱり男子の威力は違うね』






つぼみ
「ほんとうにそれ!薔薇王子とか正樹さんとか!」




つぼみは目をキラキラさせている





心夏
『すごいよねー…』




私もあんな一撃を受け止めてみたかったななんて考えてた



でも、もう出来ないんだよねー






心夏
『あーあ…大好きだったのにな…』





何年間も続けてきたバレーが…仲間と一緒に積み上げてきたものとか、もう一気になくなるんだな






つぼみ
「…あはは、なんだ心夏も泣くじゃん」




いつの間にか私の頬を一滴の涙がつたっていた






心夏
『泣くよ…人だからね』






つぼみ
「じゃあ今度は私が慰める番、いつも心夏には迷惑かけてたからね」




心夏
『迷惑とか、思ってないし』





つぼみ
「今日はいい日だね」




心夏
『なんで』





つぼみ
「だって心夏の泣き顔が見れた」





と、泣いている私の横で綺麗に笑っているつぼみが見えた




心夏
『あーもう!』



そう私は自分の頬を叩いた





心夏
『もう負けないから』





つぼみ
「望むところだ!」









たっくんの言う通り、泣いたら楽になった気がした。














会いたいな…

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